農地を耕作するための売買・貸借(農地法第3条、農業経営基盤強化促進法)

更新日:2023年07月25日

農地を売買・貸し借りするには…

 農地を耕作目的で売買する場合や、貸し借りをする場合には、農地法による方法農業経営基盤強化促進法による方法があります。

農地法に基づく売買・貸借

 以下の要件をすべて満たす必要があります。

一般要件(売買・貸借ともに適用)

1.全部効率利用要件

 農地の権利を取得しようとする者またはその世帯員等が、権利を有している農地および許可申請に係る農地のすべてについて、効率的に利用して耕作の事業を行うと認められること。

2.農地所有適格法人要件

 法人が権利を取得する場合には、その法人は農地所有適格法人であること。

3.農作業常時従事要件

 農地の権利を取得しようとする者(農地所有適格法人を除く)またはその世帯員が、その取得後において行う耕作に必要な農作業に常時従事(原則年間150日以上)すると認められること。

4.地域との調和要件

 取得後において行う耕作の事業の内容および農地の位置・規模からみて、農地の集団化、農作業の効率化その他周辺の地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生じないこと。

貸借限定の権利移動に係る要件

解除条件付き貸借の要件

 農地の貸借に限り、次の要件を満たせば、常時従事要件(個人の場合)、農地所有適格法人要件(法人の場合)を満たす必要がなく、『解除条件付き貸借』として農地の権利(使用貸借または賃借権)を取得できます。

  1. 貸借契約の中に農地を適正に利用していない場合に貸借を解除する旨の条件が付されていること。
  2. 地域における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること。
  3. 法人の場合、業務執行役員のうち1人以上の者が耕作等(企画管理労働等を含む)に常時従事すること。

関連情報

農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画による売買・貸借

農用地利用集積計画による権利移動

1.農用地利用集積計画の目的

 農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号。以下「基盤法」という。)に基づき、地域の中核的担い手となる農業者(経営の判断は世帯ではなく個人単位となる)の育成・確保、および経営改善を図る目的の達成のため、市町村が主体となって、地域の集団的土地利用や農作業の効率化等を促進するものです。

2.農用地利用集積計画による売買・貸借の事務

 市町村が主体となって農地の出し手と受け手の情報を収集し、市町村の基本構想に定めた要件を満たす担い手農家等へ、農地の売買・貸借により農地を集積するため農用地利用集積計画を作成し公告します。農地法第3条許可による権利移動が、農地の出し手と受け手が相対契約を結んだ後に許可申請を行うものとは異なります。
 市町村が作成した計画書を農業委員会の決定を経て公告することにより、計画書に記載された内容に基づき法的な効力が発生し、売買や貸借が行われます。

農用地利用集積計画による売買・貸借の要件

 以下の要件をすべて満たす必要があります。

1.農用地利用集積計画の内容が基本構想に適合するものであること。

 地域との調和要件
 農地の権利取得後の耕作の内容および農地の位置・規模からみて、農地の集団化、農作業の効率化その他周辺の地域の農業上の農地利用に支障を生じないこと等、市町村の基本構想に則した権利移動であると認められること。

2.農地の権利の受け手が権利取得後に次の要件すべてを満たしていること。
  1. 個人の場合
    • 常時農作業従事要件
       権利の設定を受ける者が農作業に原則年150日以上従事していると認められること。
    • 全部効率利用要件
       現に所有または借入れている農地を耕作放棄していないこと。農業機械・労働力等の保有状況及び通作距離等を勘案し、すべての農地について効率的に耕作することが可能と認められること。
  2. 農地所有適格法人の場合
     上記、全部効率利用要件のほか農地所有適格法人の要件(農地法第2条第3項に掲げる法人形態要件、事業要件、構成員要件および役員要件)を満たすこと。
  3. 上記、常時農作業従事要件を満たさない個人および法人の場合(貸借限定の権利移動)
     上記、全部効率利用要件のほか、下記要件を満たす必要があります。
    • 農地を適切に利用していない場合の賃貸借または使用貸借の解除をする等の条件を付すこと。
    • 毎年、農地の利用状況を市町村長に報告すること。
    • 他の農業者との適切な役割分担を行うこと。
    • 法人の場合は業務執行役員1人以上の者が、農業に常時従事すること。
  4. 権利の受け手の要件に関する注意事項
    • 経営の判断
       農地法の権利移動は「世帯」の経営で判断されますが、基盤法では「権利の受け手個人」の経営で判断します。
    • 所有権移転(売買)の要件
       基盤法の所有権移転では、資産的保有を目的とする農用地の取得や農用地の細分化が助長されることのないよう、農地法の許可基準より厳しいものとされています。
    • 農地を買うことができる者の要件
      • 買い手が高島市の認定農業者または育成農家であること。
      • 農業者年金を受給していないこと。
    • 売買をしようとする農地の要件
      • 該当の農地が農業振興地内の農用地(青地)であること。
      • 生前一括贈与がなされていない農地であること。
3.権利移動を行う土地ごとに関係権利者すべての同意が得られていること。

 ただし、数人が共有する農地について、5年以下の利用権設定を行う場合は、共有持ち分の過半の同意が得られていれば足りる。
 関係権利者とは、権利を設定する土地に関して、所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利またはその他使用および収益を目的とする権利を有する者を指します。

法律の適用等について

 農用地利用集積計画書および農業経営基盤強化促進法上に、特別の定めがない場合には、農地法の規定がすべての農用地に対して適用されることとなります。
 例えば、賃借人が催告を受けたにもかかわらず借賃を支払わない場合などは、農用地利用集積計画書上に記載がなくとも、農地法第18条第1項の規定により、賃借人は、知事に対して農地の賃貸借の解約の許可申請を行うことが可能です。
 また、農用地利用集積計画書の共通事項に定めのない土地改良賦課金や租税公課の支払い分担等については、後日のトラブルを防ぐため、権利設定の前にあらかじめ、農地の出し手と受け手の話し合いで定めておいてください。

農地利用集積計画による売買・貸借のメリット

1.売買
  1. 農地の売買に農地法第3条の許可が不要です。
  2. 農地の所有権を取得した者が請求すれば、高島市が所有権移転登記を行い、登録免許税の軽減措置も受けられます。
  3. 農地を売った際に係る譲渡所得について、800万円の控除を受けられます。
2.貸借
  1. 貸し手は、貸した農地について期限が来れば確実に返還されます。
    また、利用権の再設定をすることで継続して貸し借りできます。
  2. 農地の貸し借りに、農地法第3条の許可は不要です。

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