救急救命(応急手当)
応急手当を身につけましょう
応急手当の重要性
わたしたちは、いつ、どこで突然けがをしたり、病気になるかもしれません。そんな時、そばに居合わせた人が応急手当を速やかに行うことによって、救命効果の向上や治療の経過にも良い影響を与えることは医学的にも明らかです。
実際にこういった場面に遭遇した場合、適切な応急手当をするためには、日頃から応急手当に関する知識・技術を身につけておくことが重要になります。
応急手当と救命講習
応急手当は、その内容により救命処置とその他の応急手当に分けることができます。
まとめてみると次のようになります。
救命処置
- 呼吸や心臓が止まったときに行う心肺蘇生法(胸骨圧迫と人工呼吸)やAEDの使用
- のどにものがつまったときに行う気道異物の除去(腹部突き上げ法など)
その他の応急手当
- 楽な姿勢をとらせる方法(体温、体位など)
- 傷病者の運び方(搬送法)
- 出血に対する応急手当(止血法)
- けがに対する応急手当
- やけどに対する応急手当
- 水の事故に対する応急手当
- その他の応急手当(熱中症、けいれんなど)
救命処置の必要性
心臓や呼吸が止まった人の治療はまさに1分1秒を争います。
心臓や呼吸が止まってしまった人の命が助かる可能性は、その後約10分の間に急激に少なくなっていきます。
その場に居合わせた人が救急車が来るまで何もしなかった場合、助かる可能性は4分経過すると約20%に、同様に6分で約15%、8分で約10%、10分をこえると5%からどんどん低くなっていくといわれています。
しかし、その場に居合わせた人が救命処置をした場合、何もしなかった場合に比べて助かる可能性は約2倍になるといわれています。
救命処置は開始が早ければ早いほど救命のチャンスは高くなります。
救急車が到着するまで全国平均で8分以上かかります。もし救急車が来るまで何も手当てがされなければ、助かる命も助けられないことになります。
そこで、その場に居合わせた人による救命処置が必要になるのです。
ページ下部のダウンロードから「救命処置の手順」を確認できます。
救命の連鎖(Chain of Survival)
突然に心臓や呼吸がとまってしまった人を救命するためには、早い119番通報、早い心肺蘇生、早い除細動、二次救命処置の4つが連続性をもって行われることが重要になります。
まず、その場に居合わせた人が119番通報し、心肺蘇生法を行うとともに、AEDがあれば除細動(電気ショック)を行います。この後到着した救急隊員や医師が、より高度な救急救命処置・治療を継続しながら医療機関に搬送します。
この4つのうち、どれか一つでも途切れてしまえば、救命効果は低下してしまいます。
救命の連鎖のうち最初に3つは、そばに居合わせた人が行う最も重要な行為です。
突然死を防ぐために
成人がある日突然に死亡する主な原因には、心臓発作(心筋梗塞)や脳卒中(脳梗塞・くも膜下出血)があります。
心臓発作や脳卒中は、短期間で悪化して致命的になりますが、早く治療するほど助かる可能性が高くなります。
病院に行くまでの間に悪化する可能性もあるので、上記の様な症状が急に起こったら、ためらわずに119番通報をして救急車を依頼することが重要です。
傷病者はしばしば119番通報を遠慮しますが、強く説得してでも119番通報し、救急車が来るまでそばに付いて、傷病者の反応がなくならないか注意してください。
- 心筋梗塞の症状
胸の真中あたりにかけての締め付けられるような痛み。まれに、胸の痛みが出ると同時に、肩・腕・首・あご・背中などにも痛み。吐き気・冷や汗・めまい。 - 脳梗塞の症状
顔の半分や片方に手足がしびれる、力が抜ける。突然、しゃべり難くなる。
急に片方の眼が見えなくなる、視野が狭くなる、物が二つに見える。
身体がふらつく、バランスが取れない、力はあるのに立てない、歩けない。
意識が薄れる、意識が無くなる。 - くも膜下出血の症状
突然の激しい頭痛、嘔吐、ときに意識障害が伴う。 - 子どもの突然死の主な原因には怪我(外傷)、溺水、窒息などがあります。
いずれも予防が可能なので、なによりも未然に防ぐことが大事です。
自動車に乗せるときのチャイルドシート使用、自転車に乗るときのヘルメット着用、保護者がいないときの水遊びの禁止、幼児の手の届くところに口に入る小さなものを置かないことなどが重要です。
更新日:2023年03月31日