令和7年度施政方針(令和7年6月定例会)

更新日:2025年06月02日

先の3月定例会でご審議いただきました令和7年度当初予算は骨格的な予算で編成いたしましたが、今期の定例会では政策的な事項を中心に予算を提案させていただいております。

2月に市長として就任させていただき、4か月を迎えようとしています。この間、議員の皆様や市民の皆様および様々な団体や企業から、たくさんのご意見やご提案をいただいてまいりました。

そして、各部局との政策議論も重ねた上で今議会に上程しました政策的な予算の中から、私自身の7つのビジョンに基づいて、主な取り組みの方向性や内容を説明させていただきます。

政策分野1 「仕事をする人、暮らす人でにぎわうまちづくり」

最初に、「仕事をする人、暮らす人でにぎわうまちづくり」でございます。

高島市では、良好な環境や豊かな地域資源を活かして、仕事をする人や暮らす人を呼び込む取り組みを進める必要があると考えています。

今議会に提案した予算においては、専門学校と市内民間企業で構成される団体が連携して宿泊型のインターンシップを実施するなど、関係人口を増やす取り組みを進めてまいります。

また、今議会では「副業人材活用支援事業」も提案しております。

近年、働き方の多様化が進む中で、環境に恵まれた地方で副業をすることを希望される方が増えております。このような状況の中で、地域の特性を生かした副業の機会を提供するため、セミナーを開催して、参加者の皆様に情報提供を行います。

あわせて、参加者同士のネットワーキングの場も設けることで、地域内での人材交流や新たなビジネスチャンスの創出を図ります。

政策分野2 「経済効果を高める観光まちづくり」

次に2つ目に、「経済効果を高める観光まちづくり」でございます。

観光は地域経済の基盤を支える重要な要素です。また、高島市は独特の魅力があふれており、観光によるまちづくりを進めるには大変適していると考えます。

このため、観光資源の発掘や新たな観光プログラムの実施を通じて、地域の魅力を最大限に引き出し、経済効果を高めることが求められています。

今年度は、まずは観光ビジョンシンポジウムを行って、地域の観光資源や魅力を再認識し、今後の観光戦略について議論を深めます。

そして、既存の観光施設については、必要な改修を計画的に進めてまいります。これによって、訪れる観光客に対してより良い体験を提供し、リピーターの獲得にもつなげてまいります。

また、誘客促進プロモーション事業として、SNS やウェブサイトを活用するなどによって、京阪神や中部地域への情報発信を強化し、観光客の誘致を促進します。

さらに、外国人観光客の獲得に向けては、今年度は台湾でのセールスコールを通じて、高島市の魅力をアピールし、台湾の方々に積極的にアプローチします。また、外国人観光客が安心して訪れることができる受け入れ態勢が重要ですので、多言語対応の案内やサービスの充実も図ってまいります。

たかしま観光ビジョンを実現するためには、今後さらなる取り組みが必要であり、市民や民間事業者の皆様との協働によって進めてまいります。

政策分野3 「活力ある強い産業を育むまちづくり」

3つ目に、「活力ある強い産業を育むまちづくり」でございます。

まずは、農業については、高島市の農産物のブランド力を向上するなど付加価値を高めることが重要です。

このため、今年度については、有機農業の推進に向けて、先進地視察などを通じて他地域の成功事例を学び、高島市における有機農業の普及を図ります。これにより、付加価値を高めるだけではなく、環境保全にも寄与する農業の実現を目指します。

また、ぶどうやイチジクを対象とした補助制度を設けることで、果樹生産の支援を拡大するとともに、農業者向けの研修会を定期的に開催し、最新の栽培技術やマーケティング手法を学ぶ機会を提供することによって、農業者の所得向上につなげていきたいと考えています。

次に、高島市の豊かな農地を活かすためには、新規就農者の確保が大変重要ですので、今年度は就農フェアに参加するなど、若い世代の農業参入を促進します。

また、農地の管理において、特にニホンザルによる被害は極めて深刻な状況です。このため、ニホンザルの個体数調整を進めていく必要があります。今議会では、新たに今津B群について個体数や行動域の調査を行う予算を提案し、次年度以降の個体数調整の実施につなげてまいります。

市内の陸域面積の約72%を占める森林については、多面的な機能を発揮させながら、多様な活用を進めて、森に賑わいや仕事を生み出すことが重要と考えます。

このため、今年度は、森林セラピーの推進、市内産木材の活用への支援、森林境界の明確化、自伐型林業の推進、拠点施設の修繕などの取り組みを行います。

さらに今年度より、「発酵のまち・たかしま」というブランドイメージを一層発信し、発酵食の活用を進めます。

このことによって、高島市独特の魅力をわかりやすく発信するとともに、市内産業の付加価値を高めたり、健康づくりにつなげるなどによって、高島市に人や仕事を呼び込みます。

今年度は、発酵食品を使用した料理を提供する飲食店を活用し、発酵に関する体験イベントを開催するといったガストロノミーツーリズムを進めます。

また、学生等と連携しながら、市内発酵食文化のヒアリングを実施し、ポータルサイトやマップを作成します。

今後、地域の農産物や水産物と組み合わせた新たなメニューの開発も進めてまいりたいと考えています。

政策分野4 「恵まれた子育て、教育環境で未来を担う人づくり」

4つ目に、「恵まれた子育て、教育環境で未来を担う人づくり」でございます。

まずは、働く保護者が安心して子どもを預けられる環境を整える必要がございます。

このため、新設する学童保育所の運営に対して必要な補助を行うなどによって、地域のニーズに応じた質の高い保育サービスを提供してまいります。

また、保育士の確保は重要な課題となっております。このため、保育士の就労や確保に関する様々な取り組みへの補助を行うことで、より多くの人材が保育現場で活躍できるよう支援していきます。

さらに今年度は、こども・若者の施策を包括的に捉えた「こども計画」の策定を進めます。

今後は、高島市の良好な環境を活かした保育や教育の内容を積極的に取り入れるなど、市外から見ても魅力を感じられるような、より良い子育ての環境、教育の環境を実現するために努力してまいります。

政策分野5 「人と人がつながり、健康で生涯活躍できるまちづくり」

5つ目に、「人と人がつながり、健康で生涯活躍できるまちづくり」でございます。

まずは、高齢化などに伴って、市民の方々が市内を移動する交通手段の確保が大きな課題となっています。

このためには、公共交通を含めた新たな地域交通のシステムを構築しなければならないと考えております。

具体的には、住民が利用しやすい交通手段の導入や公共交通機関の運行ルートや時刻表の見直しなど、多角的な視点から地域交通の充実を図ってまいります。また、デジタル技術を活用したり、オンデマンド型の交通サービスを導入するなどによって、住民の方々がより便利に移動できる環境を整備していく考えです。

このため、今年度については、まずは市内の地域交通の現状把握および調査を行います。また、市内各所での交通利用状況や住民のニーズを把握するため、アンケート調査やヒアリングを実施します。

次年度以降は、それらの結果を基に、新たな地域交通のシステムを検討してまいります。

次に、高齢化社会が進展する中で、介護人材の確保は地域の福祉サービスの質を維持し、向上させるために欠かせない取り組みです。

このため、介護職員の確保に関して、補助金制度を活用した支援策を引き続き行ってまいります。

具体的には、介護事業所が新たに介護職員を雇用する際、一定の要件を満たす場合に、助成金を交付いたします。この助成金により、職員の手当や研修費用に充てることができ、事業所の経済的負担を軽減することで、より多くの人材を採用するインセンティブとなります。

また、介護職員の定着を図るために、フレックスタイム制度やリモートワークの導入、育児休暇や介護休暇の取得促進など、多様な働き方を支援する施策を講じます。

さらに、介護職員向けの専門的な研修や資格取得支援を行うことで、職員の専門性の向上や、キャリアアップの機会の提供につなげます。

今後、高校や専門学校との連携を強化し、新たな人材の流入を促進してまいります。

政策分野6 「様々な災害に備える防災システムづくり」

6つ目に、「様々な災害に備える防災システムづくり」でございます。

その中で、今議会に予算提案していますインフラ整備についてですが、地域住民の協力を得ながら、集落内道路の必要な箇所の整備を進めて、通行の安全性を高めます。

また、市道の維持管理についても、定期的な点検や補修作業を行い、災害時にも迅速な対応が可能となるよう努めてまいります。河川改修については、オオカミ川を含む河川の安全性向上を図るため、流域の特性を考慮した改修工事を進めてまいります。これにより、洪水や土砂災害などのリスクを軽減し、市民が安心して生活できる環境を整えてまいります。

 

政策分野7 「高島らしい環境、文化、歴史に恵まれたまちづくり」

7つ目に、「高島らしい環境、文化、歴史に恵まれたまちづくり」でございます。

今議会での予算案においては、琵琶湖岸に広がる松並木の保全に力を入れています。湖岸の松並木は地域の景観形成に寄与するだけでなく、 観光資源としても重要です。しかし、現在松枯れが急速に進行していますので、枯損木について伐採と適切な処理を行うとともに、健全木については予防策として樹幹注入を実施します。

これらの実施によって、琵琶湖岸の松並木を保全する取り組みを進めます。

以上、骨格的な予算である令和7年度当初予算の肉付けとしての政策的な補正予算について、施政方針を申し上げました。

現在、行政の各般において、多くの課題が山積しており、これらを解決するためには、関係部局が共通の認識を持ち、連携して取り組むことが不可欠です。

特に、財政状況が大変厳しくなっておりますので、費用対効果の向上や業務の効率化などの行財政改革を一層進めてまいります。このため、これまで実施してきた事業や公共施設の維持管理などについても、今後見直しが避けられなくなることが予想されます。何卒ご理解を賜わりますようお願いいたします。

しかしながら、高島市には、美しい水や緑および景観、そしてこれらに育まれた豊かな文化や歴史など、人を惹き付ける独特の魅力があります。

課題対応や行財政改革とあわせて、このような高島市の魅力を活かしたまちづくりを市民の皆様とともに進めてまいりたいと考えます。

また、市政全般に渡って情報公開を進めるとともに、市民の皆様のお気持ちに寄り添った行政運営を心がけてまいります。

どうか皆様のご指導とお力添えを賜りますよう、心からお願い申し上げまして、令和 7 年 6 月議会の政策予算関連施政方針とさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

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