令和5年度施政方針(令和5年3月定例会)

更新日:2023年03月31日

令和5年度の施政方針を述べさせていただきます。
まず初めに、本市の近年の人口動態についてであります。
我が国では世界で類を見ない急速なペースで人口減少と少子高齢化が進行しており、これに起因する各地域活力の維持は全国の自治体が抱える共通の重要課題となっているところであります。
そのため本市では、これまでから「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を定め、人口減少の抑制に向けた各種施策を推進しており、その成果目標の一つに転入者数と転出者数の差、いわゆる社会増減を令和6年度にはプラスマイナスゼロの状態にすることを目指してきたところであります。
そうした中で、このほど令和4年の一年間の集計が確定し、その結果、平成17年の合併以来、初めて転入者数が転出者数を上回り、マイナスからプラスに転じたところであります。
転入超過となった背景としましては、これまで積み上げてきた子育て支援策や雇用拡大のための各種施策等の長年にわたります取り組みの成果であり、このことは今後の市政運営における大きな弾みとなるものであります。
引き続きまして地方創生やリビング・シフト構想の取り組みを強力に推し進め、本市の関係人口や定住人口の拡大につなげてまいりたいと考えているところであります。

それでは、令和5年度に取り組んでまいります主な施策とその方向性につきまして、第2次高島市総合計画の6つの政策分野ごとに申し上げます。

政策分野1 「かもす」産業・経済

高島市への新たな人の流れと次の世代を担う若者の定着を図るためには、地域内でより多くの雇用の受け皿をつくるとともに、地域産業の発展に向けた取り組みが不可欠であります。
そのため、市内の商工団体や企業をはじめ国や県とも連携しながら、事業継続や雇用の維持増進、さらには新規創業や新規事業の立ち上げに向けた施策を展開し、経営基盤の強化を支援してまいります。
また、平成27年に締結いたしましたリゾートトラスト株式会社との協定により、昨年から会員制リゾートホテル事業の建設が始まり、来年秋の開業に向けて順調に工事が進められております。また、このほどJR安曇川駅前の商業施設跡地における社員寮の建設も決定したところであります。
会員数がおよそ5千人を超えるホテルが開業することによりまして、雇用の増進や地域の活性化、さらには市のブランドイメージの向上などに大きな波及効果をもたらすものと期待をしているところであり、今後におきましてもあらゆる機会を捉えて、企業等の誘致に向けて積極的に取り組んでまいる所存であります。

次に、観光振興についてであります。
高島市は観光地としての極めて高いポテンシャルを有しておりますことから、その優位性を活かして、交流人口や定住人口の増加につなげることが極めて重要なテーマであります。
国道161号の整備促進や来年春の北陸新幹線の敦賀延伸など、本市を取り巻く環境が大きく変化する中にあって、観光施策をさらに力強く推し進めるため、今年度から着手をしております「市の観光ビジョン」を策定し、観光振興による本市の持続的な発展と地域資源を一層輝かせるための推進力としてまいります。
また、コロナ後の観光需要の高まりに対応し、本格的なインバウンド観光の回復を実現するため海外マーケットへの積極的な誘致活動を展開し、誘客促進と受入れ体制の強化を図ってまいります。

次に、農林水産業についてであります。
農業経営の安定化に向けましては、たかしま野菜等生産拡大事業や特産品振興事業に取り組みますとともに、昨年改正されました農業経営基盤強化促進法に基づきまして、これまでの「人・農地プラン」に替わる「地域計画」の策定を進めてまいります。
また、上安曇地区経営体育成基盤整備事業の実施によりまして、農地の大区画化や水田の畑地利用を推進し、将来の農業を支える経営体への農地の集積などを図ってまいります。
林業分野におきましては、森林がもつ水源涵養などの多面的機能を保全するため、森林環境整備事業などを実施してまいりますほか、災害時の倒木による電気や通信等の寸断リスクを低減するため、引き続きまして、高木の予防伐採や樹種転換などを進めてまいります。

政策分野2 「あゆむ」子育て・教育

本市ではこれまで、中学生までの医療費や保育料の無償化に加え、近年は小・中学生の学校給食費の無償化や在宅育児支援金の支給等を実施し、どこよりも子育て支援の充実したまちとして子育て環境の整備に努めてまいりました。
また、国におきましては、本年4月に「子ども家庭庁」が設置されるなど、子どもの健やかな成長を社会全体で後押ししていくことが求められております。
そのため市では、子育て家庭が抱える育児不安や子どもの発達、児童虐待、不登校、非行、引きこもり、或いはヤングケアラーなどの相談支援を包括的に行う「子ども家庭総合支援拠点」を新たに整備するとともに、拠点の整備と併せまして、課題を抱える子どもたちが学校や家庭以外で気軽に立ち寄れる「子どもの第三の居場所」を開設することとしております。

次に、教育についてであります。
学校教育分野では、小・中学校に配備いたしました1人1台のタブレット型端末を効果的に活用し、学び方改革を進めますとともに個別最適な学びの充実を図り、子どもたちの確かな学力の定着に向けた取り組みを推進してまいります。
また、社会教育におきましては、人生100年時代を迎えるにあたり、一人ひとりが自らのライフスタイルに応じた学びに取り組んでいただけますよう、昨年秋に開校いたしました「市民大学たかしまアカデミー」をはじめ、公民館教室や講座などにより様々な学びの機会を提供してまいります。

政策分野3 「つむぐ」健康・福祉

新型コロナウイルス感染症対策につきましては、感染症法上の類型の見直しが予定されておりますことから、今後、国から示される新たな対策やワクチン接種体制に基づき適正に対応してまいることとしております。
人口減少や少子高齢化など社会環境の変化により、世帯の単身化や地域におけるつながりの希薄化、社会的孤立や生活困窮など、多様化・複合化した地域生活課題が顕在化しております。こうした課題に対応するため、福祉や保健医療、就労、教育などの各施策を連携しながら、さらに「重層的な相談支援体制」の充実に取り組んでまいります。
また、特に配慮が必要な認知症や障がいのある方に対しましては、市の社会福祉協議会との連携により中核機関機能を整備し、権利擁護支援の充実と成年後見制度の利用促進等の支援を図ってまいります。
さらに、今後も要介護者等の増加が見込まれます中で、令和6年度から令和8年度までを計画期間とする第9期介護保険事業計画等の策定にも着手し、引き続き安定的な介護サービスの提供と介護人材の確保に努めますとともに、高齢者が身近な地域で相談できる体制をさらに充実させるため、新たな民間委託による地域包括支援センターの設置に向けて準備を進めてまいります。
また、病院事業につきましては、これまで市民病院と朽木診療所および陽光の里の統合により経営の健全化を進めてきたところであり、引き続き地域の中核病院としての役割を果たすべく、機能の充実を図りながら更なる経営改善に取り組んでまいります。
次に、令和7年に開催が決定いたしました「第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会」につきましては、開催準備と機運の醸成を着実に進めますとともに、「第2期高島市スポーツ推進計画」に基づきまして、市民のスポーツへの関心や運動機会の提供に努めることで健康の維持増進を図ってまいります。

政策分野4 「せせらぐ」暮らし・文化

まず、住民自治についてであります。
今年度から本格的に活動が開始されました各中学校区単位の「住民自治協議会」につきましては、人口減少の中で新たな住民自治のあるべき姿を模索しながら特色ある取り組みを実践いただいているところであり、地域コミュニティをお支えいただいている区や自治会とともに、引き続き支援を継続してまいります。
また、移住定住に向けた取り組みとしましては、朽木地域に所在いたします「旧熊瀬邸」を新たに移住体験施設として改修するための設計業務を行いますほか、JR西日本との連携協定に基づき取り組んでおります「おためし暮らし」では、公営住宅の空き家を新たに移住体験住宅として提供するなどによりまして、関係人口の拡大や定住促進に繋げてまいります。

次に、環境政策についてであります。
新たな環境センターの整備につきましては、昨年末に安曇川町の泰山寺区を建設予定地に決定させていただいたところであり、これと並行して周辺地域の皆様のご理解に向けた説明会を開催し、様々なご意見を頂戴しているところであります。
新年度におきましては、施設整備基本計画の策定と生活環境影響調査に取り組みますとともに、事業の進捗に合わせて地元や周辺地域の皆様に説明をさせていただき、ご意見を伺いながら施設整備ならびに周辺環境の保全対策に反映してまいります。
ごみ処理は日常生活を支える最も身近な行政サービスでありながら、現在は、三重県伊賀市様に緊急避難的に受け入れをいただいている状況に鑑み、令和11年度に新施設を稼働し、安定的な廃棄物行政を確立することが喫緊の重要課題であります。
現在の環境センターにおきまして平成26年に発覚いたしましたダイオキシン類基準値超過事案以来、今日までの対応や積み重ねてまいりました議論をしっかりと踏まえながら、この課題に道筋をつけることは私の使命であり、着実に前に進めてまいる覚悟であります。

次に、災害への備えについてであります。
気候変動の影響から集中豪雨などによる災害頻度が高まる中で、いざという時に備えるため区や自治会における地区防災計画の策定や、要支援者の個別避難体制の構築、さらには地域防災体制の要である消防団との連携を強化していくことで地域防災力の向上を図ってまいります。
また、緊急時の情報伝達手段となります防災行政無線は、設備等の老朽化にともないまして新たな無線システムの整備に着手することとし、これまでと同様に戸別受信機を各ご家庭に設置させていただくことによりましてきめ細かな情報伝達に努めてまいります。

政策分野5 「ささえる」生活基盤

国道161号をはじめとします道路交通基盤の整備は、本市にとりまして極めて重要な政策課題であります。
特に国道161号につきましては、小松拡幅第14工区では令和7年秋の開通に向けて北小松トンネル工事が完成するとともに、安曇川地区交差点立体化では橋梁下部工の工事がすべて完了し、同じく令和7年秋の完成に向けまして上部工が鋭意進められているところであります。
そうした中で、とりわけ小松拡幅第13工区のいわゆる白鬚神社の背後地におけるバイパス整備につきましては、既に計画ルートについての住民説明会等が開催され、新年度には環境影響評価に向けた手続きが進められることとなっております。引き続きまして、一刻も早い事業着手に向けて関係機関との緊密な連携を図ってまいります。
また、福井県敦賀市および美浜町との道路構想につきましては、本市の将来発展にとって大きな可能性を秘めた構想でありますことから、引き続き、国や滋賀県との調整を図りながら関係市町との検討を進めてまいります。
また、昨年12月に策定いたしました「地域公共交通計画」に基づき地域公共交通ネットワークの再編成やダイヤ改善を図るため、新年度には「地域公共交通利便増進実施計画」を策定してまいることとしております。
水道事業におきましては、「第2次高島市水道事業基本計画」に基づき実施します水道料金の改定により、持続可能な事業経営に努める中で、水道水の安定供給と有収率の向上を目指すため老朽化した主要管路の更新や統廃合に向けた施設整備を計画的に進めてまいります。

政策分野6 「こころざす」行政経営

少子高齢化による社会保障費の増大や公共施設やインフラの老朽化対策等により、今後はより一層厳しい財政運営が求められることになります。
私は、持続可能なまちづくりを進めるため「行政改革の継続と市民生活の安定」を公約に掲げ、職員数適正化計画や行財政改革計画、公共施設再編計画などを定めながら行政運営の在り方の見直しや行財政改革に取り組んでまいり、その成果は着実に現れてきておるものと認識しているところであります。
言うまでもなく、これらは改革自体を目的としたものではなく、市民サービスの向上を図りつつ本市が将来にわたって健全な財政を維持するためのものであります。学校給食費や医療費、保育料の無償化など、市独自の施策もこうした着実な改革があってこそ実現するものでありますことから、今後も引き続き、市民福祉の向上のため着実な改革に取り組んでまいる所存であります。
また、国では地方創生の取り組みをデジタルの力を活用してさらに発展させ地域の課題解決につなげるため、昨年12月にこれまでの総合戦略を改訂して「デジタル田園都市国家構想総合戦略」を公表されたところであります。各地方自治体におきましても、これらを踏まえた総合戦略の改訂が求められておりますことから、令和5年度には本市の総合戦略を改訂し、高島市ならではの価値や魅力を生かしながら地域の課題解決や魅力向上の取組みを一層進めてまいりたいと考えております。

次に、「ふるさと納税」の推進であります。
本市のふるさと納税は今年度も既に6億円を超えておりまして、全国の皆さまから本市への温かいご支援をいただいております。今後も本市が誇る特産品や地域資源を戦略的にPRいたしますとともに、地域経済の好循環と本市の貴重な財源確保に取り組んでまいります。

最後に、4月からは市のホームページを全面リニューアルいたします。
市のブランド戦略として、これまで以上にホームページによる情報発信力を強化し、本市の優位性や魅力を全国に発信してまいりますとともに、「高島リビング・シフト構想」を通して積極的なシティープロモーションにも努めながら更なる関係人口の開拓と移住定住に繋げる取り組みを進めてまいります。

 

以上、新年度に臨みます私の所信および市政の基本方針の一端を述べさせていただきましたが、市政運営にはこのほかにも数多くの課題が山積してございます。引き続きまして、次の世代に責任が持てるまちづくりに向けまして、職員の皆様とともに全身全霊で臨んでまいりますので、議員各位におかれましてもより一層のご理解、ご協力を賜りますようお願いを申し上げまして、令和5年度の施政方針とさせていただきます。

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