所信表明(平成25年3月定例会)

更新日:2023年03月31日

それでは、ただ今上程されました2件の議決案件、18件の条例案件、ならびに11件の予算案件の提案説明に先立ちまして、私の市政運営にかかる所信の一端を述べさせていただきます。
  まず始めに、このような機会を与えていただきましたことに対し、正副議長をはじめ、議員の皆様に厚くお礼申し上げます。
 
さて、この度の高島市長選挙におきまして、大変多くの市民の皆様からご支持をいただき、そのご期待にしっかりと応えるためにも、誠心誠意、全力で市政運営にあたらなければならないと、あらためまして決意を新たにしております。
市政運営につきましての基本的な考え方は、市民の皆様の声に耳を傾け、市民の皆様と同じ目線で、そして市民参加によります市政運営の実現が何よりも重要と考えております。
そのためにも、市民の皆様から様々なご意見やご提案をいただきながら、そしてそれらを真摯に受け止めさせていただいたうえで、必要なものは政策につなげ、あるいは、見直すべきは大胆に勇気を持って見直すべきであり、法に叶い、理に叶い、そして情に叶う市政を運営してまいりたいと考えております。
現在の高島市は、本当に多くの課題を抱えております。合併後の均衡のとれた一体的なまちづくりはもとより、例えば、人口減少と少子高齢化の問題であります。
特に高齢化率については、平成25年1月の滋賀県社会福祉協議会の推計では29.2%であり、県内19市町では多賀町に次ぎ2番目、13市では最も高い数値となっております。
このまま人口減少と少子高齢化が急激に進みますと、地域経済や雇用が立ち行かなくなるとともに、一方で市税収入の減少につながります。
結果的に、医療費や介護給付費等の社会保障経費の増加に対応できなくなり、基本的な行政サービスの水準が維持できなくなる可能性も出てまいります。
このように様々な課題を抱えるなか、私は、これまで3ヶ月近くの間、市内各地で大変多くの皆様とお会いさせていただき、本当に多くのご意見、ご提案をいただいてまいりました。

今回の市長選挙におきましては、その様な市民の皆様の大変貴重なご意見、ご提案を私自身の政策に反映させていただく形で、2つの緊急課題、旧6町村の区域における地域別課題、48項目にわたる政策課題、それら政策の実現のために取り組む3方策、計59項目の政策を、市民の皆様とのお約束として提案させていただいたところであります。

まず、2つの緊急課題についてでありますが、約6億円という整備事業費と毎年高額の維持管理費が必要となる「芝生サッカー場」の建設計画は、凍結すべきと考えます。
事業費については、国庫補助金や合併特例債を充当し、市一般財源の持ち出しをできるだけ少なくするとの試算がありましたが、多額の維持管理費用により、毎年赤字経営が見込まれるとともに、合併特例債につきましても、地方交付税への算入措置があるとは言え、市の借金であることに変わりありません。
しかしながら、既に2.9ヘクタールの用地が先行取得されておりますので、議員各位はもとより、市民の皆様との議論を重ね、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。

もう一つは、さらに巨額の予算が必要となります市役所新庁舎建設事業であります。
今津町今津の南浜地先へ新庁舎建設予定地が決定された経緯は承知しております。
しかし、一昨年3月の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の発生以後、福井県若狭地方の原発銀座に隣接し、琵琶湖西岸断層帯が縦走する高島市では、市民皆様から防災・危機管理に対する不安が高まっており、国が定めた緊急時防護措置準備区域、いわゆるUPZの範囲に近い新庁舎建設予定地は、「最適地」とは言い難い状況となっております。
また、新庁舎を建設し、各支所の機能を縮小あるいは一部廃止した場合について考えますと、29.2%という非常に高い高齢化率や、県内でも長浜市に次いで2番目という広大な面積を抱え、その中に200を超える区・自治会が組織されております高島市におきましては、市民皆様への行政サービス低下は避けられないであろうと危惧するものであります。

市民参加のまちづくりを推進いたしますためにも、各支所の機能を充実させ、また支所がその役割を担い、各地域の均衡ある発展に資する体制を作っていかなければなりません。
数十億円という巨費を投資し、立派な市役所を新たに新築移転するよりも、現在の新旭庁舎を最大限に活用し、必要な場合には周辺施設の増改築等を検討するなどにより対応すべきと考えており、議員各位はもとより、市民の皆様にもご理解いただけますよう、しっかりと説明してまいりたいと考えております。

次に、各地域別の課題について申し述べます。
まず、マキノ地域につきましては、原発事故への不安解消が第一と考えております。
人類の歴史の中で、原子力発電に依存してきた事実はまぎれもなく、また悲惨な戦争や、東日本大震災での悲劇から、我が国は脱原発を目指すべきと考えております。
  しかし、現状を考えますと、産業界はもとより、医療や福祉をはじめ私たちの日常生活における電力需給実態から、ただちに廃止は現実的な選択肢とは言えず、このため、原発立地自治体に準じた「原子力防災対策基本計画」の策定を急ぎますとともに、市民皆様への的確な情報伝達体制の整備など、安全・安心の防災対策の強化につなげるためにも、原子力発電事業者との安全協定についても早急に結論を見出したいと考えております。

今津地域では、大型風力発電施設の整備計画についてであります。
本年度、国は大規模な風力発電施設の設置を目指し、高島市今津町の福井県境にある尾根を調査地域の一つに指定し、環境影響評価調査を実施しております。
これまで、市民の皆様に対する情報が少ないなか、今津の山並みに大型の風力発電タワーがいくつもそびえ立ちますと、森林伐採による自然破壊、生態系への影響は必至であります。
さらに、風力発電施設が所在する他地域で既に問題となっております、低周波騒音による健康被害も懸念されるところであります。
私は、こうした大型風力発電施設より、もっと自然に優しい小水力発電施設や、太陽光発電施設を中心に、自然エネルギーの普及を推進することにより、エネルギー自給率を高めてまいりたいと考えております。

新旭地域につきましては、JR新旭駅へのエレベーター設置が望まれております。
既に近江今津駅、安曇川駅、近江高島駅の3駅にエレベーターが設置され、高齢者や障がい者、妊産婦の方などが、より安全で快適にご利用いただけるようになっております。
残る3駅のうち、まず、最も乗降客数の多いJR新旭駅へのエレベーター設置に取り組んでまいります。

安曇川地域につきましては、大型小売店舗等の移転で空洞化の進む、JR安曇川駅前周辺の再生が大きな課題となっております。
駅周辺の豊かな自然や悠久の歴史・文化遺産、さらには伝統的地場産業などの各種資源を活かすためにも、総合的な活性化を図っていくことが大切と考えます。
このため、駅前商業者、JR、商工会、観光協会、公募市民などのメンバーによる「安曇川駅周辺活性化検討委員会」を早期に立ち上げ、短期的課題と中・長期的課題を整理しながら、観光と商工業の振興を狙った再開発に取り組みたいと考えております。

高島地域につきましては、大溝城跡、乙女ヶ池、旧城下町の景観の保全と地域の活性化が急務と考えます。
平成25年度中の国の重要文化的景観選定を目指し、諸手続きを進めるとともに、旧城下町の総門、町割り、武家屋敷等、さらなる景観の保全に併せ、観光振興策を展開し、地域の活性化を図ってまいります。
 
朽木地域につきましては、豊富な森林資源を多面的に活用し、六次産業化を目指してまいります。
山村および森林文化の荒廃を防ぎ、豊かな緑を次の世代へ引き継ぐ仕組みづくりを急がなければなりません。公共の建築物をはじめ、個人・民間の建築物に、高島市内産の木材を優先的に活用することにより、林業から建築業まで、一連の産業を活性化するとともに、間伐材を活用した産業を育成したいと考えております。

次に、5つの高島未来政策について申し述べます。

一つ目は、「医療・福祉・介護」についてでございます。
高島市民病院と県立成人病センターとの連携強化。中学3年生までの医療費無料化。高齢者へのきめ細かな医療・介護・予防サービスの提供。障がい者が生き生き暮らせる地域社会づくりなど、誰もが住みよい、住んで良かったと思えるまちづくりに取り組んでまいります。

二つ目は、「産業・観光振興」についてでございます。
中小企業の振興と地場産業の育成支援のため、企業誘致の促進。高島の優れた特産品や高島農産物の情報発信による販路拡大などを進めてまいります。

三つ目は、「防災・環境」についてでございます。
市民皆様の生命と財産を守るため、滋賀県・大津市等との連携により、防災対策を強化いたします。
また、未来への再生可能エネルギーづくりとして、太陽光・小水力発電などの普及推進に努め、NPOや自治会等への取り組み支援を実施してまいります。

四つ目は、「教育・文化・スポーツ・子育て支援・女性」についてでございます。
子どもの「生きる力」を育み、可能性を伸ばす教育を目指し、一人ひとりを大切にした指導の充実や、「いじめ防止条例」の制定に取り組んでまいります。
また、地域に根ざした文化振興のため、高島の歴史遺産・文化的景観の保存・継承・活用に努めてまいります。生涯スポーツの推進には、地域のスポーツ指導者やボランティア等の人材育成を推進してまいります。
さらに、地域みんなで子育て支援を行い、女性が活動しやすい環境を整えるため、自治会等での子育て支援サロンの設置とボランティアの配置などに取り組んでまいります。

五つ目は、「一体感のあるまちづくり」でございます。
旧6町村の特色を生かした市民参加型まちづくりを推進するため、地域の声をしっかり聞く仕組みを構築するとともに、支所機能の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。
また、市民生活の生命線となる国道161号、303号、367号の早期改良整備を促進します。
さらに、若者定住につなげるための空き家の有効活用や、住宅建設への支援を実施してまいります。
 
以上申し述べました「地域課題」の解決、「5つの高島未来政策」実現のため、さらに次の3つに取り組んでまいります。

まず、「市民のために働く役所づくり」でございます。
市役所とは、市民の皆様のお役に立つ所であります。市民サービス向上のためには、何よりもまずは職員の意識改革が必要であります。そのためにも、私自らが職員との信頼関係の構築に努め、高島の未来に向けた想いが共有できますように、職員からの提案・発想を受け入れる仕組みづくり、やりがいづくりに取り組んでまいります。

次に、「関係諸団体や国・県・大津市等との連携強化」でございます。
各種の政策実現や事業実施には、国や県等との連携、さらには信頼関係の醸成は欠くことができず、これまでの経験を活かしながら連携強化に取り組んでまいります。

次に、「徹底したムダ削減による財源づくり」でございます。
単なる歳出削減や経費節減だけでなく、市民サービスの質と効率を向上させるために、「最小の経費で最大の効果」を挙げる意識を徹底いたします。

以上が、私が市民の皆様に対しましてお示しさせていただきました59項目にわたります政策であります。

これからの4年間、市民の皆様とともに、高島の未来をしっかりと見据えながら、私たちの子どもや孫に、誇りを持って引き継いでいける高島市を築いてまいりますことが、今を生きる私たちに課せられた使命であると考えております。そのためにも、全力で市政運営にあたってまいる所存でございます。

どうか議員各位、ならびに市民皆様の深いご理解とご協力を心からお願い申し上げ、市長就任にあたっての所信表明、ならびに挨拶といたします。

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