令和2年度施政方針(令和2年3月定例会)

更新日:2023年03月31日

 令和2年度の施政に臨むにあたり、所信の一端を述べさせていただきます。

 まずはじめに、昨年12月末に中国湖北省武漢市において発生いたしました新型コロナウイルスは、連日報道がなされておりますとおり、日本国内でも感染の広がりをみせ、一向に収束の兆しすら見えてこない状況でもあります。こうしたなか、政府は昨日、対策の基本方針を決定し、感染拡大の防止策を講じ、患者が急増するペースを可能な限り抑えることとしております。現時点では、滋賀県内の感染者は確認されておりませんが、万が一にも、県内に感染者が発生した場合は、直ちに市といたしましても、高島市危機管理対策本部を立ち上げる予定をしてございます。市といたしましても、現在までに、関連する部署によります新型コロナウイルス感染症対策庁内会議を複数回開催いたしまして、マスクや消毒薬等の必要な資材の調達のほか、相談窓口の設置、あるいは市民病院の医師体制の確保や、高島保健所との連携のもとの情報収集など、予防対策等の情報提供に努めているところでもあります。今後、国内の感染状況次第では、市内の観光関連をはじめとした各種産業分野への影響が懸念されるところでもありますので、引き続き、今後の推移や国の動向等を見極めた上で適切に対応してまいりたいと考えているところでもあります。

 それでは、第2次高島市総合計画に示しております、6つの政策分野ごとの主要な施策について、述べさせていただきます。

1.産業・経済

 1番目の柱であります「産業・経済」の分野でございます。まず、農林水産業施策におきましては、市内の中山間地域の多くでは、過疎化や高齢化等により、農林業の担い手が減少し、農地や森林に手が入らなくなることで、荒廃や多面的機能の低下が進んでいるなど多くの課題が顕在化しておりまして、早急な対策が求められているところでもあります。そのような中で、令和3年10月には、第27回全国棚田サミットが、滋賀県内では初めて、本市で開催される運びとなりますことから、今後こうしたサミットを契機に、中山間地域が抱える課題の解決や中山間地域における農業・農村保全のあり方など、意識の醸成に繋げてまいりたいと考えております。また、大規模で安定した農業経営の実現を図るために、安曇川町上田中・三尾里地区の農地の大区画化や汎用化など、高い生産効率や高収益作物の導入を可能とする上安曇地区経営体育成基盤整備事業に新年度から着手をいたします。また、森林の果たす水源の涵養や林地の保全、地球の温暖化の防止等の公益的な機能や市民の生活基盤である重要インフラ施設周辺における森林につきまして、高島市森林整備計画に基づき、引き続き、森林境界の明確化や施業の集約化など、効率的な森林資源の利用と更新を図りますとともに、台風等の自然災害に備え、避難経路となる道路をはじめとする重要インフラ施設への被害を未然に防止するため、沿道木などの予防伐採を行う重要インフラ施設周辺整備事業を新年度からモデル的事業として取り組み、大規模停電などにも備えてまいることとしております。

 次に、商工観光施策におきましては、高島市の魅力である水と緑、食や歴史遺産等を、最大限活用した観光商品の開発やサービスの拡充を図りまして、国内外からの誘客促進と地域経済への波及につなげてまいります。また、国内外における市場調査や商談会あるいは展示会、さらにはSNS等での情報発信を通じまして、発酵食品や工芸製品をはじめとする特産品の全国あるいは海外への販路拡大を図る高島を全国・世界に売り出すプロジェクトを推進することとしております。特に、新年度からは新たに、海外展開に意欲のある事業者を中心としたオール高島の特産品によります海外展開を関係団体等で構成するプロジェクトチームにより、販路拡大に戦略的に取り組み、雇用創出を図ることとしております。さらに、市内の地域経済の振興につきましては、市内企業の活性化と経営の安定を図るために、新規設備投資や市内従業員の雇用に対する支援等によりまして、経営基盤の強化と競争力の維持向上を後押ししてまいります。

2.子育て・教育

 次に、2番目の柱であります「子育て・教育」の分野でございます。子育て支援施策におきましては、この度作成いたします高島市子ども・子育て支援あくしょん・ぷらん2020の計画年度が、令和2年度から始まりますことから、この計画に基づき、質の高い保育、子どもと子育て家庭への支援など、これまで以上に充実した施策に取り組んでまいります。まず、保育料につきましては、昨年10月から始まった国の幼児教育・保育の無償化に合わせまして、国の対象にならない0~2歳の乳幼児の保育料につきましても、市の単独施策により完全無料化を実現しておりますが、令和2年度におきましても、中学生までの医療費の完全無料化と同様に、引き続き実施してまいることとしております。一方で、市内のこども園等に入所できない、いわゆる待機児童は、本年1月1日現在で53名にのぼり、この解消に向けましては、保育人材の確保と定着が喫緊の課題となっております。このため、令和2年度から新たに、保育士のための宿舎借り上げ支援、奨学金償還助成、保育補助者雇上助成など、国の補助事業に加え、市独自の保育士確保策を講じる保育人材確保対策事業に取り組んでまいります。こうした中、現在、民間事業者によりまして小規模保育園2園の開設が予定されておりまして、待機児童の解消に大きな役割を果たしていただけるものと期待を寄せているところでもあります。また、障がいや、発達に遅れまたはその疑いのある児童に対する相談および支援につきましては、発達相談、通所療育、特別支援教育への支援等の機能を統合し、一元的な支援が可能となります高島市児童発達支援センターを、本年7月1日に開設することといたしております。

 教育施策におきましては、これまでから市内小・中学校現場におきまして、ICT環境の充実に向けた取り組みを進めているところでありますが、このたび、国におきましては、子ども達に1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するGIGAスクール構想が提唱されましたことから、市の整備計画との整合を図りつつ、子どもたちの情報活用能力を育成するため、ICT教育機器整備事業に、引き続き取り組んでまいります。

3.健康・福祉

 次に、3番目の柱であります「健康・福祉」の分野でございます。令和6年をピークに、団塊の世代の方々が、75歳以上となられますが、本市の高齢者数および高齢化率は増加の一途を辿っており、高齢化率は令和2年度中に35%に達すると見込まれております。また、令和7年までには、全国的に約34万人の介護職員が不足すると見込まれる状況のなか、今後、医療、福祉、介護あるいは生活支援に対するニーズは、質、量の両面で益々増大、多様化していくことが想定されます。そのような中で、市内の特別養護老人ホーム等に入所できない、いわゆる特養の待機者数は、367名にのぼるなかで、現在、民間事業者で整備を進められております特別養護老人ホームにつきましては、2法人で整備に向けた取り組みが進められており、待機者数の解消に向けて、これも期待しているところでもあります。しかしながら、要介護認定者の増加および市内の介護支援専門員不足が懸念される中、地域包括支援センター機能を強化し、住民へのきめ細かな支援を充実させるため、本年10月から、地域包括支援センター業務の一部につきまして民間活力を活かした外部委託を行い、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていただくことができるよう、地域の連携協力体制の整備など、地域包括ケア体制の構築を、さらに進めてまいります。

 また、市民病院におきましては、平成29年度から取り組まれております新高島市民病院改革プランが、令和2年度が最終年度となりますことから、経営効率の向上、地域包括ケアシステム構築と併せまして、いわゆる地域完結型の医療の実現を目指してまいります。

4.暮らし・文化

 次に、4番目の柱であります「暮らし・文化」の分野でございます。近年、地球温暖化の影響による局地的な豪雨など、全国各地で大規模な自然災害が頻発しております。市ではこれまでの教訓を活かしまして、災害時の連絡体制や関係機関との情報共有のあり方など、引き続き、各種防災訓練を通じまして万全の体制で備えていきたいと考えているところでもあります。また、大規模災害時における通信手段の一つであります防災行政無線におきまして、災害発生に伴う長期停電時に備え、防災行政無線の機能が損なわれないように、デジタル同報系無線固定局発電機切替回線を39局増設するとともに、地域振興無線コミュニティ放送用PC更新等を行う防災行政無線整備事業を、また、道路の異常を発見した市民から情報提供いただく市民情報システムと、AI技術を活用し客観的な路面の健全度を把握する道路損傷自動抽出システムを導入し、効率的・効果的な維持管理に努めてまいります。

 また、環境センター後継処理施設整備事業は、冒頭のごあいさつでも触れさせていただきましたが、昨年3月の市議会で、本年度予算をお認めいただき、既に環境省の交付金を受けながら、基本計画の策定や、周辺環境への影響を検証する生活環境影響調査を実施中でありまして、令和2年度におきましても引き続き実施いたしますとともに、さらに新年度におきましては、事業者選定委員会を設置・運営支援を行い、発注仕様書等の作成、専門的かつ技術的な知見に基づく審査および検討、事業者の選定を行います。また、造成工事の発注のために造成設計業務や、ごみ処理施設建設に関します必要な地質調査業務などを行う予定としております。ご承知のとおり、現在の環境センターは、平成30年2月に休止し、同年3月から市内で発生する燃やせるごみの処理は、新施設稼働予定の令和6年度末までの暫定措置として、県外の民間業者に委託しているところであります。新たなごみ処理施設整備は、これまでから幾度もご説明しておりますように、環境省および防衛省補助事業の採択を受け、有利な財源である合併特例債の発行可能期限ともなります令和6年度末の竣工に向けまして、計画的に施設整備を進めるものであります。

5.生活基盤

 次に、5番目の柱であります「生活基盤」の分野でございます。令和5年の北陸新幹線敦賀駅の開業、令和6年の国民スポーツ大会の開催、令和7年の大阪万博開催が間近に迫る中、北陸と近畿を結び、さらには、観光客の受け入れなどのためにも、生活基盤の整備は重要であります。とりわけ、国道161号の早期整備につきましては、こうした国の大きな動きを視野に入れながら、国や県、関係機関と連携しながら、要望活動を引き続き強く展開してまいりたいと考えております。また、市では、限られた財源のなかで、道路整備を効果的・効率的に推進するため、第2次高島市道路整備プログラムを策定しておりますが、近年、通学路の安全確保の重要性の高まりや集落からの消雪施設の整備要望の増加、あるいはナショナルサイクルルートの指定や各種計画事業に伴う道路整備の必要性を踏まえ、プログラムに沿って計画的な事業推進を図ってまいります。

 また、下水道事業におきましては、計画区域内の整備が、平成23年度で概ね完了した後、公共下水道区域内にある農業集落排水施設を計画的に公共下水道へ接続しておりますが、新年度は、上寺地区農業集落排水処理施設を公共下水道へ接続するため、下水道管渠築造工事を実施いたすこととしております。水道事業におきましては、第2次高島市水道事業基本計画に基づきまして、水道水の持続的な安定供給および有収率の向上を目指すため、老朽化した主要管路の更新や施設の統廃合に向けた施設整備を計画的に行ってまいります。

 また、国におきまして、平成30年度から推し進められております国土強靭化は、来年度で3年間の最終年度となります。国道161号・303号・367号や主要な県道および主要な河川の整備につきましては、国や県、関係機関とも連携を図りながら、更なる整備促進に向け、引き続き国土強靭化の継続も含みまして、要望活動を展開してまいりたいと考えております。

6.行政経営

 最後に、6番目の柱であります「行政経営」の分野です。これまでの行財政改革の取り組み結果では、高島市行財政改革計画に基づきまして、公共施設再編に向けた取組みを進めますとともに、ふるさと納税のリニューアルや、その後の取組強化、企業や大学等との様々な連携協定の締結、あるいは遊休財産の売却処分や、民間委託の更なる拡大等の成果を上げてまいりました。そして今後におきましても、高島市総合計画の実現に向けて、高島市まち・ひと・しごと創生総合戦略を始めとした各種計画との整合性を図りつつ、行財政改革に取り組んできたところでもあります。そうしたなか、高島市のふるさと納税びわ湖高島えんむすび事業でありますが、市にとりましては、貴重な財源であるとともに、市内の特産品を全国にお届けるできる絶好の機会と捉えており、令和2年度の目標額は6億円としておりまして、市の魅力をPRするとともに、自主財源の確保に取り組んでまいることとしております。

 次に、普通交付税の合併算定替が終了いたしました令和2年度以降も、持続可能な行財政運営が可能となるよう、従来からの取組みに加え、さらに積極的な行財政改革を実行していくため、市と民間企業等との協働により、市の新たな財源を確保いたしますとともに、職員が行っている単純で定型的な事務作業を、ロボットソフトウェアに任せることや、AIを活用し、職員の事務負担と作業時間数の短縮を図る定型的な事務作業の自動化などについて、検討を行ってまいります。

 また、民間委託の更なる拡大を図るため、本年4月から、斎場運営につきまして、民間事業者のノウハウの活用によるサービスの向上など、安定的な斎場運営を行うために、斎場包括的業務委託により、業務の効率化と経費の軽減を行ってまいります。また、平成20年9月から順次、調理等業務の一部を民間に委託しております学校給食センターにおきましては、給食業務を専門とする民間業者による安全・安心な学校給食の安定的な提供を目的として、本年8月より、マキノ学校給食センターにおきまして、こども園給食を含む調理等業務の一部を民間に委託して運営を行ってまいります。

 さらに、昨年8月から進めてまいりました今津東コミュニティセンターの大規模改修工事が完了し、本年3月1日からリニューアルオープンする運びとなりました。また、本年4月からは同センター1階部分に琵琶湖周航の歌資料館を移転し、地域文化やコミュニティの情報発信の場として、また、観光や情報発信の機能をあわせ持つ、地域の中核施設として、より一層市民の皆さんに親しまれる施設運営を、めざしてまいりたいと考えているところであります。今後におきましても、今津東コミュニティセンターを核とした今津駅前周辺の活性化につきましても、しっかりと対応していきたいと考えているところであります。

 以上、高島市におきましては、様々な課題が山積しておりますが、職員の皆さんと一丸となり、地方創生への挑戦を目標に掲げ、住みたい、住み続けたい高島の実現へに向けまして、全力で市政運営に取り組んでまいる所存でありますので、議員各位におかれましても、どうか、引き続き、お力添えを賜りますよう、心からお願いを申し上げまして、令和2年度の施政方針とさせていただきます。

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