平成28年度施政方針(平成28年3月定例会)

更新日:2023年03月31日

平成25年2月に市長に就任をさせていただき、早くも3年が経過をいたしました。改めまして、これまでを振り返りますと、長期にわたり先送りされてきた課題や、予期せぬ事案発生への対応に私自身大変多くの時間を費やした3年間でもございました。

 就任直後の平成25年には、沖縄県以外で初めてオスプレイを使用した日米共同訓練の実施や、台風18号によります数十年ぶりともいわれました全市に及びました災害対応、さらには、放射能に汚染された廃棄物への対応、また、翌、平成26年4月には、環境センターにおきますダイオキシン類超過事案の発覚により、謝罪やその原因究明、そして、必要な対応策を講じた結果、昨年の3月30日には、大阪湾フェニックスセンターから、搬入停止措置の解除を頂くまで、実に1年間にわたりましての対応が求められたところでもあります。

 さらに昨年には、陸上自衛隊の実弾射撃訓練によります場外着弾事案が発生し、直ちに国や関係機関へ厳重抗議を行うとともに、再発防止に向けまして、陸上自衛隊と初めてとなります覚書を締結させていただいたところでもございます。

 その他、庁内では、職員の不祥事が連続して発覚する等の事態への対応も求められてまいりました。

 今、そうした事情を振り返りますと、これらの事態は、高島市という地方自治体が変わろうとしている、言い変えれば変わらなければならない歴史の変遷を歩んでいるのではないかと受け止めてきた3年間でもあります。

 一方で、この高島市の地を次の世代にしっかりと引き継ぐためにも持続可能なまちづくりに向けた取り組みも展開させていただいてまいりました。

 とりわけ、市財政の40%を占める普通交付税の合併特例期間が終了し、平成27年度から段階的に減額されることを踏まえ、3年間で、基金へ約37億円の積み増しをさせていただき、また、地方債残高の繰り上げ償還を進めますとともに、国民健康保険税や水道利用料金の改訂、さらには使用料の見直しなど行財政改革の取り組みによりまして、将来的にも禍根を残さない財政運営を心がけてきたところでもあります。

 また一方、市民の皆様とのお約束であります各施策、政策の展開につきましても、例えば、中学校を卒業するまでの医療費の無料化や、小中学校へのエアコン設置などの学習環境の改善をはじめ、地方創生の総合戦略との整合を図りながら、ふるさと納税制度の取り組みや企業誘致の一環といたしました会員制高級リゾートホテルの誘致にも積極的な取り組みを行うことなどにより、様々な施策を着実に展開させていただいたところでもあります。

 こうした中で、平成28年度は、私に与えて頂いた1期4年の最終年を迎えることとなり、事実上総仕上げとなりますことから、昨年から展開しております「高島市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を本格的に実施をし、同時に、本年は、将来の高島市の歩むべき方向を明らかにする「第2次総合計画」の策定の年でもありますことから、持続可能な高島のまちづくりに向けた確実な取り組みに繋げてまいる所存でもあります。

 それでは、平成28年度の主な施策につきまして、ご説明を申し上げます。

 まず、私の政策の大きな柱であります庁舎問題でございますが、平成27年度には、現庁舎の増改築に係ります基本設計と、老朽化が著しい今津支所と安曇川支所の移転増改築に係ります実施設計に着手をしたところでございます。
 現時点におきましては、昨年の住民監査請求の結果を不服として、一部の市民の方によります住民訴訟に発展するなど、大変残念な状況となっておりますが、私といたしましては、昨年4月の住民投票結果を踏まえますとともに、同じく昨年6月に当時の廣本市議会議長様から提出いただきました「平成27年度高島市一般会計予算のうち庁舎増築整備事業および支所庁舎整備事業の予算執行に対する意見書」を最大限尊重をさせていただき、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

 次に、地方創生に向けた取り組みでございます。

 昨年10月に議会のご意見もお聞きしながら策定いたしました「高島市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を本格的に実施することとなりますが、一方で、昨年より国の交付金を受け先行して実施しております各種の事業との整合や継続性にも配慮し、例えば、特産品の海外への販売の拡大では、「高島ちぢみ」に「高島帆布」を加え、これまでのインドネシア、マレーシアの2か国から、さらに3か国へ市場を開拓するとともに、高島屋百貨店との連携により、発酵食品や加工品のブランド力を高め、国内での市場開拓に向け、引き続き取り組みを推進してまいります。
 今後もブランド力の向上と新たな地域での産業化に向けて支援してまいります。

 また、ふるさと納税ですが、全国の自治体での取り組みが加速化する中で、昨年8月に制度を一新して取り組みを進めてまいりました「びわ湖高島えんむすび事業」では、市の法人市民税に相当する3億円を目標に定め、更に情報発信やPRに努めて参ります。

 次に、産業振興と地域経済の活性化でございます。

 地方創生総合戦略に基づき、その取り組みを強力に推進してまいりたいと考えております。
 具体的には、3年間に142名の雇用の創出を目標に掲げ、高島地域雇用創造協議会において実施をしてございます「実践型地域雇用創造事業」を引き続き実施してまいります。
 また、新たな企業誘致として、会員制高級リゾートホテルの事業展開につきましては、新たに約200名を超える雇用が見込まれますとともに、食材等の供給や施設整備の地元事業者への発注機会など、地域の活性化に繋がることが期待され、既に、庁内にプロジェクトチームを編成して円滑な事業展開に向けた必要な調整や、また、アクセス道路や使用量の増加が見込まれます水道施設の必要な改良を行うなど、円滑な事業の推進を支援してまいりたいと考えております。

 農業政策では、このリゾートホテルの事業展開も一つの契機と捉えまして、地場産野菜の生産拡大や新たな特産品づくりを行うため、市内JAや生産農家と連携しながら、これまでの支援制度を拡充いたしました「たかしま野菜生産拡大事業」などにより、農産品の定着や生産拡大につなげてまいることとしてございます。
 また、TPP関連では、輸入牛肉の関税引き下げの影響が懸念されます畜産業の経営安定化に向けまして、高島地域畜産クラスター協議会に対しまして、必要な施設整備等の支援を行い、競争力の強化を図ってまいります。

 観光振興では、老朽化する観光施設の集客力と収益性を高めるため、利用者のニーズに沿った改修を計画的に進めていくこととしておりまして、具体的には、新旭風車村やマキノピックランド周辺のリニューアル計画の策定などに新たに取り組んでまいります。

 次に、地域で安心して子どもを産み育てられる環境づくりについてであります。

 全国的に人口減少社会を迎え、市におきましても出生率の低下による急激な少子化が更に深刻化する中で、子どもを安心して産み育てられる環境づくりが求められております。このため、多子世帯の保育料の負担の軽減を図るため、ふるさと納税で届けて頂きましたご寄付も活用しながら、国や県の制度を上回る市独自の支援制度として年齢制限および所得制限を撤廃し、認定こども園、幼稚園、保育園に入園される全ての世帯を対象に、保育料の第2子を半額に、第3子以降を無料に拡大することとし、また放課後児童の健全育成を図るため、利用者の増加によりまして新たに2か所増設して12か所になります学童保育所の活動を支援してまいります。
 さらに、出産への負担の軽減を図るため、妊婦健康診査に係ります費用の全額を支援するなど、子どもを安心して産み育てられる環境づくりに取り組んでまいります。

 学校教育では、先に策定をいたしました「高島市教育大綱」に基づきまして、発達段階や教育上の課題に応じた系統的、継続的な学習指導や生徒指導を図るため、引き続き小中一貫教育を市内全域で実施をいたしますとともに、子どもたちの学力向上に向けまして、「学力向上アクションプラン」に基づきまして、個に応じたきめ細かな学習指導を行い、確かな学力と豊かな人間性、たくましい心身を育ててまいります。
 また、子どもたちにとりまして望ましい学習環境を整えるため、就任以来、これまで順次整備を進めてまいりました小中学校へのエアコン設置やトイレの改修につきましても、全ての小中学校への整備を目指して進めてまいります。

 また、市民病院では、湖西医療圏域の中核病院あるいは、地域の急性期医療の要として、また、救急・災害拠点病院として、その役割と責任はますます重要になってまいります。

 しかしながら、平成27年度は、入院患者数の減少などにより、病院経営が悪化傾向にありますことから、病院経営の健全化を図るため、改訂いたしました「病院改革プラン」に基づきまして、地域の医療機関との連携強化や地域包括ケア病棟への一部転換、また、DPC制度の導入などにより、より一層、市民の皆様に信頼していただける病院経営が図れるよう、全ての病院スタッフが一丸となりまして、病院経営の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、環境政策についてでありますが、市の重要課題であります環境センターの管理運営につきましては、昨年、12月に環境センター在り方検討委員会から頂きました答申に基づきまして、今後当面10年間の安定稼働に必要な施設の改修を進めますとともに、将来にわたり安全で安定したごみ処理体制の構築とごみの減量化、資源化を推進し、環境負荷の少ない持続可能な循環型社会の形成に取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に、快適で豊かな地域づくりに向けての基盤整備でございます。

 まず、国道161号バイパスの早期整備につきましては、私自身、就任以来、国や県などの関係機関に、毎年要望を重ねきたところであります。近年ではこれまでにないスピード感で進捗が見られるところでもあります。
 今年度末には、安曇川大橋から青柳北交差点まで、1キロメートルが完了する予定でもございますし、また、先の国の平成27年度補正予算におきましては、小松拡幅に係ります1億2千万円の新たな予算付けがされたところでもございます。このことによりまして、小松拡幅改良工事が、今後、更に、目に見える形で進捗が図れることが期待され、さらに平成28年度の本予算成立後の個所付けにも、私自身大いに期待をしているところでもございます。
 一方、JR湖西線の利便性の向上に向けた取り組みについてでありますが、まずは、防風柵に関しましては、今月中にも志賀駅から比良駅間の2.5キロメートルが完成し、平成28年度には、和邇駅から志賀駅間の3.3キロメートル、平成29年度には、近江中庄駅から永原駅間3.4キロメートル、さらに、永原駅から近江塩津駅間1.2キロメートルの計7.9キロメートルが追加整備の予定となっております。
 また、新旭駅バリアフリー化につきましては、ようやく昨年12月にJR西日本との協議が整い、現在、JR西日本の参加を頂きながら「高島市交通バリアフリー基本構想策定協議会」におきまして協議を進めますとともに、まずは、平成28年度から新旭駅トイレの整備に係ります実施設計にも着手をしてまいります。

 今後におきましても引き続き、基幹道路の早期整備、JR湖西線の利便性の向上に向けまして、国をはじめ関係機関に対しましてさらなる要望を重ねてまいる所存でございます。

 以上、1期4年間の最終年を迎えます平成28年度は、まだまだ多くの課題が山積しております中ではありますものの、これまでの3年間の取り組みの延長線上に各施策を据えながら、次の世代に誇りを持ってしっかりとした形で引き継いでいける高島のまちづくりに向け取り組む所存であり、議員各位におかれましても、より一層のご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、平成28年度の市政運営にあたりましての所信と主な施策の方針とさせていただきます。

この記事に関するお問い合わせ先

〒520-1592
高島市新旭町北畑565
電話:0740-25-8000
ファックス:0740-25-8101
秘書課へのお問い合わせ