平成27年度施政方針(平成27年3月定例会)

更新日:2023年03月31日

 ただいま上程をいたしました議第1号から議第41号までの提案説明に先立ちまして、この機会にお許しをいただき、私の平成27年度の施政方針の一端を述べさせていただきます。

 さて、一昨年2月に市長に就任させていただき、これまでを振り返りますとこの2年間、実に様々な課題や問題が発生をいたしました。

 とりわけ、昨年4月に発覚いたしました市の環境センターにおけますダイオキシン類超過問題につきましては、平成19年度から7年間の長きにわたり事実を隠ぺいし、大阪湾フェニックスセンターへのばいじんの搬出、埋め立て処理をただ漫然と繰り返してまいりました。
 これまでの行為は、組織としての法令遵守の欠如や問題を先送りしてきた危機管理体制の不備が招いたものであり、地方公共団体として、まさにあるまじき行為であり、市民の皆様はもとより、大変多くの関係機関や団体の信頼を失墜し、まさに事案発生後のこれまでの一年間は、信頼回復に向けましてのゼロからのスタートでもありました。
 また同時に、この問題の解決は、これまでの高島市役所のあり方を変える機会ととらえまして、全ての職員の皆さんが気概を持って職務に携わり、とりわけ幹部職員に対しましては、その職責の自覚と必要な覚悟を求めてきたところであります。
 一度失われた信頼の回復は容易ではありませんが、組織全体がすべての事務事業の執行において、原点に戻り真摯な姿勢で誠実に対応することにより、道は開けるのではないかと考えております。
 現時点では、大阪湾フェニックスセンターへの受け入れ再開には至っておりませんが、必ず私の責任において全面解決をさせていただく所存でございます。

 さて、我が国は世界に先駆けて「人口減少、あるいは超高齢社会」を迎える中で、国におきましては昨年「まち・ひと・しごと創生法」いわゆる地方創生法が制定され、全国に共通する様々な構造的な課題に対し、全ての地方公共団体が主体性を発揮した地域づくりへの取組みが求められております。
 具体的な取り組みといたしましては、先ずは、平成27年度中に、高島市独自の地方創生総合戦略を策定するとともに、新年度より先行取組みをスタートし、そして未来へ向けたまちづくりへと展開してまいることになります。

 私は、この高島の地の未来へ向けたキーワードは、サスティナブル いわゆる持続可能な社会づくりであろうと考えているところであります。

 そのためにも、昨年11月に市の将来を担う若手職員によります「地方創生総合戦略研究グループ」を設置させていただきまして、既に現状把握や課題整理を終え、地方創生総合戦略の本年秋の策定に向け、具体的な施策の検討を部局横断的に進めているところでございます。

 その先行取組みの一例といたしまして、本年1月に庁内の若手職員6名によりまして、現行の「ふるさと納税」について、その課題整理や今後のあり方についての検討を指示いたしましたところ収入財源の確保にととまらず、市の特産物の販売促進や観光客の増加につながるプラン更には、地域経済への波及効果や定住促進にもつながるまったく新しい素晴らしい制度提案があり、早速、新年度予算に「びわ湖高島えんむすび事業」として、歳入予算としての納税額を1億円計上する等、具体化しているところであります。
 他に遅れをとることなく、逆に先行する形で高島の地を将来につなげてまいりたいと考えております。

 それでは、平成27年度の主な施策について、ご説明申し上げます。

 まず、庁舎問題についてであります。これまでも繰り返し、機会あるごとにご説明させていただいてまいりましたが、例えば、合併時には10年後の将来人口を56,700人と推計しておりましたが、現在では、52,000人を割り込み、おおよそ1割に相当する約5,000人の乖離(かいり)が生じ、また、合併時の協定によりサービスは高く、負担は低くでスタートいたしました、各種の一般行政サービスの実態からは、例えば、国民健康保険税や水道料金などは、これまで必要な改定が見送られ、既に早い段階から独立した会計としての収支バランスが保たれずに運営が立ちいかない状況となっております。
 また、旧町村から引き継いだ多くの公共施設は、県下平均の約2倍の床面積を有し、今後の大規模改修や維持管理を考えた時に市の財政を大きく圧迫する事態を招くことは確実であるなど、合併時に描かれた姿からは、大きく隔たり、思い切った大胆な見直しが避けられない状況ともなっております。
 一方で、市本庁舎には、災害時の本部機能が発揮できるスペースの確保や各部局を集約することでの効率的で効果的な行政サービスの実現を図ることなど喫緊の課題がございます。また、財源となる合併特例債の発行期限と整備スケジュールを考えますと時間的な余裕がないことも事実でございます。

 こうした中で、昨年9月におけます市役所の位置に関します一部改正条例案の議決後、私自身、高島経済会をはじめ大変多くの市民の皆様から様々なご意見をいただく中で、やはり現在の新旭庁舎を最大限活用させていただき、必要な改修と不足する面積を増築する事が間違いのない選択と確信しているところであり、また、私の政策の大きな柱でもあります。
 昨年9月に、一旦は議決いただいておりますものの議員各位には、改めまして、再度のご判断を仰ぐこととなりますが、どうか高島の将来に想いを馳せていただきまして、是非とも間違いのないご判断をお願い申し上げます。

 また、同時に、市民生活に一番身近な窓口でございます支所につきましては、老朽化や耐震性を有していない建物もありますことから、市民の皆様の利便性の向上や地域防災拠点機能等を確保するため、順次、老朽化が著しい支所から計画的に整備を進めてまいります。
 そのため、平成27年度には、今津支所および安曇川支所の移転に係る実施設計業務を進めてまいります。

 また、今津地先の新庁舎建設予定地であった市有地約3.6ヘクタールの用地につきましては、かねてより議会からも、当該土地の利活用方策に関しますご意見やご質問をいただいて参りました。
 そのため、今議会に提案しております「公有地利活用検討委員会」を設置いたしまして、新庁舎建設予定地も含めまして、地域活性化に資する市有地の利活用方法を速やかに検討し、その検討結果に基づいて対応してまいりたいと考えているところでございます。

 次に、地域産業の振興と地域経済の活性化でございます。

 我が国の経済情勢は、内閣府より2月に発表されました月例経済報告によりますと「景気は、個人消費などに弱さが見られるが、緩やかな回復基調が続いている。」との基調判断がなされておりますが、市内の雇用情勢は、有効求人倍率は全国平均を下回り、依然として厳しい状況が続いております。
 こうした中にありまして、これまで企業誘致につきましては、用地の確保等に手間取り、順調に推移しているとは言い難い状況ではありますものの現在、製造業等にこだわらず、他産業も視野に入れながら、誘致に向け、鋭意調整をしているところであり、また、中小企業の振興と地場産業の育成支援につきましても、設備投資・雇用促進、さらには労働環境整備に対する支援を継続し、経営の安定化と雇用促進につなげてまいりたいと考えております。

 観光振興についてでありますが、老朽化する観光施設の収益性を高めるため、利用者のニーズに沿った改修を計画的に進めてまいります。
 具体的には、グリーンパーク想い出の森大規模改修工事や新旭風車村リニューアル基本構想の策定などにも取り組んでまいります。
 また、今日も一部マスコミに大きく取り上げていただいておりますが、今年5月3日には、世界33か国を会場で同時開催されるスポーツイベントとしてのウィングス・フォー・ライフ・ワールドランに、日本が初めて参加することとなり、その開催地に日本で唯一高島市が選定をされました。
 この大会は、3千人の選手の参加が予定され、現在、出場選手の参加受付もされており、海外からの参加者も見込まれ、その他関係者も含めますと相当な規模ともなりまして、高島の地を国内だけではなく広く世界に発信する絶好の機会になります。

 これまでの受動的な観光行政ではなく、この地の優れたあらゆる資源を積極的に情報発信し、高島ならではの魅力を生かした観光振興を図ってまいります。

 次に、地域で安心して子育てが出来る子育て支援と学校教育についてであります。

 急速な少子化の進行や子育ての孤立感と負担感の解消、乳幼児期の質の高い保育・教育ニーズの高まりなどの環境の変化に対応するため、「高島市子ども・子育てあくしょん・ぷらん2015」に基づき、質の高い幼児期の教育・保育の総合的な提供をはじめ、すべての子どもと子育て家庭への支援の充実など、包括的な支援を行ってまいりたいと考えております。
 具体的には、保育園の認定子ども園への移行によりまして、家庭のニーズに合わせ教育・保育が自由に受けられる体制の整備や私立幼稚園への給食費の無償化の拡大をはじめ、引き続き、私立保育園・幼稚園の安定的な運営を図る支援や放課後児童の健全育成を図るため、市内10か所の学童保育所の活動を支援してまいります。

 また、学校教育では、子どもにとって望ましい教育環境を整えるため、本年4月に統廃合を行いますマキノ北小学校、今津西小学校および平成28年4月の統合を予定しております広瀬小学校につきまして、子ども達の学校生活を見守り、教育環境の安定が図れますよう努めてまいります。
 また、子どもの義務教育9年間の育ちを見据えて、一貫性のある系統的、継続的な学習指導や生徒指導を目的に小中一貫教育を引き続きまして市内全域で実施するとともに、各校の「学力向上アクションプラン」を評価・改善して、きめ細かな指導を行い、確かな学力と豊かな人間性、たくましい心身を育ててまいります。

 また、市民病院では、地域の急性期医療の要として、また救急医療・災害時医療の拠点病院として、その役割と責任はますます重要になってまいります。
 既に策定をしております「病院改革プラン」に基づき、引き続き中長期的視点から病院経営の健全化と診療施設及び診療体制の整備を図ってまいります。
 とりわけ、本年4月からは、「地域がん診療病院」の指定を受け、がん診療を体系的かつ本格的に実施してまいりますことから、医療品質の向上を図り、市民の皆様の安心と信頼できる病院経営に努めてまいりたいと考えております。

 次に、防災対策につきましては、市民の皆様をあらゆる災害から守るため、風水害をはじめ地震災害や原子力災害などあらゆる災害発生の危険性が高まっている中におきまして、昨年改定をいたしました地域防災計画では、「減災」を新たな基本指針として、災害によります影響を最小限にして、人命を最優先にした防災活動を行うこととしております。
 このために、市民の皆様により一層、防災意識を高めていただけるよう、総合防災マップの作成や各種の防災訓練、出前講座、防災リーダー研修などの開催により、地域防災力の向上を目指してまいります。

 また、原子力発電施設が所在いたします福井県に隣接する市といたしまして、原子力災害からの安全性の確保が極めて重要であり、特に、福井県高浜原子力発電所3・4号機の再稼働に向けた手続きが進行されている中で、UPZ30キロの範囲内に高島市が位置しているにもかかわらず、未だに事業者との安全協定の締結に至っていないことから、引き続き、県と連携して、協定締結に向け強く働きかけてまいりたいと考えております。

 次に、豊かな自然環境を次世代に引き継いでいく中で、環境政策は大変重要なテーマであります。

 循環型社会の推進に向けまして、市の環境センターの在り方も含め、これまでの市環境行政そのものの見直しが必要となっております。
 このため、市の環境政策に係ります各種計画の見直しを進め、高島のあるべき環境政策の方向を見極めてまいりたいと考えております。

 最後に、市民の皆様の日常生活や地域経済をお支えするとともに、災害時の避難・救護・復興のための最も重要なライフラインとして、基幹道路であります国道161号、303号、367号さらに主要地方道等の早期整備は市の重要な課題であります。

 とりわけ、何年先になるか分からないと揶揄されておりました161号バイパスにつきましては、平成25年度に安曇川工区が着工され、また、昨年より小松拡幅も目に見える形で整備が進み、更に海津・西浜間の湖北バイパスも多額の用地買収費用が予算化される等、これまでにない形で進捗しております。
 今後とも、国、県、大津市ともしっかり連携し、早期整備に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。

 以上、平成27年度の施政運営にあたりましての所信と主な施策の方針につきまして、その概要の一部を申し上げました。

 まだまだ、多くの課題が山積しておりますものの、高島の未来をしっかりと見据えながら、市民の皆様の生活を守り、そして次の世代へ誇りを持って引き継いでいける確かな高島市を目指しまして、将来にとって悔いのない市政運営に全力を尽くして参る決意でございます。
 議員各位におかれましては、より一層のご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、施政方針とさせていただきます。

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