平成26年度施政方針(平成26年3月定例会)

更新日:2023年03月31日

 ただいま上程されました議第3号から議第36号までの提案説明に先立ちまして、この機会にお許しをいただき、私の平成26年度の施政方針の一端を申し述べさせていただきます。

 さて、昨年2月に市長に就任させていただき、早、1年が過ぎたところでございますが、この間市内では、特に、マキノ赤坂山での大阪の小学6年生の一時行方不明、マキノ町在原地区での9棟にも及ぶ大規模な茅葺き民家の火災、台風18号災害、放射性木材チップ問題および饗庭野演習場における日米共同訓練でのオスプレイの訓練参加、さらには数多くの事務処理の不適正事案の発覚等々、本当に過去に例を見ない様々な出来事がありました。

 私にとりましては、こうした事案に対しまして迅速かつ的確な判断を求められたところでございますが、常に市民の皆様にとりまして、いかに選択すべきであるかを基本に、また危機管理にも意識しながら言い訳することなく、誠実で信頼される市政運営に誠心誠意努めてきたところであります。

 さて、平成26年度は市制10周年の節目の年に当たります。
 こうした中にあって、昨年12月に開催されました「全国発酵食品サミットinたかしま」は、まだ記憶にも新しいところですが、2日間で延べ1万8千人もの方々にご来場いただき、この地域の食文化とともに、当市の魅力やブランド力向上に寄与するとともに、私たち自身の誇りを高めたものと感じており、また美しい琵琶湖を臨むJR湖西線の40周年という記念の年でもありますことから、これらを活かした取り組みも必要かと考えているところであります。

 一方、国政におきましては、昨年末に決定されました平成26年度一般会計政府予算案によりますと、税収におきましては消費増税に加え、法人税収等の伸びにより7年ぶりに50兆円台に乗り、16%と高い伸びとなっています。これに対しまして、歳出面で最大の課題と言われております社会保障費が全体の3割を占め、30兆円を初めて突破したところであり、全体で平成25年度当初予算に比べて3.5%増の過去最大の95兆8,823億円となったところであります。
 しかしながら、地方財政に大きな影響を及ぼす地方交付税につきましては、全体で16兆8,855億円、対前年度1,769億円、1%減と昨年に続きまして、減少が見込まれているところであります。
 また、平成26年度滋賀県一般会計予算案につきましては、5,153億1千万円、対前年度比4.0%増と7年ぶりに5,000億円台に乗る積極予算と報じられているところでもあります。
 こうした中での高島市の平成26年度当初予算は、私にとりまして、初めての本格的な予算編成となりました。市民の皆様の付託にお応えするため、多くの市民の皆様からの数々の貴重なご意見やご提案をいただき、各部局との政策議論を重ねながら、取り組むべき施策を構築させていただいたところであります。

 それでは、平成26年度の施政の主な取り組みの方向について、順次ご説明申し上げます。

 まず、「市役所本庁舎・支所整備方針」および「今津地域市有地活用方針」の2つの課題に対する取り組みでございます。
 これら課題に対する私の取り組みの基本姿勢でありますが、平成16年に高島地域合併協議会において策定されました「新市建設計画」におきましては、平成26年の将来人口の想定を56,700人とし、それぞれの体系毎の基本方針や公共的施設の統合整備が謳われておりますが、平成26年1月末の本市の住民基本台帳人口は52,051人と既に大きく乖離している現状であります。
 また、平成17年におけます市内の出生数は、405人でありましたが、平成24年には307人と100人近くの減少となっております。
 さらに、65歳以上の方が人口に占める割合を示した高齢化率におきましても、平成17年には25.1%であったものが、本年1月末で29.5%という現状でもあります。
 こうした状況等も踏まえ、「高島の未来をしっかり見据えながら、私たちの子どもや孫に、誇りを持って引き継いでいける高島市を築いていくことが、今を生きる私たちの使命である。」ということを信念として将来につけを残すことにないよう、見直すべきものは勇気を持って見直し、将来を見据えた取り組みが必要と改めて思いを強くいたしたところであります。

 市役所本庁舎・支所整備方針および今津地域市有地活用方針につきましては、昨年5月に、庁内職員によりますプロジェクトチームをそれぞれ立ち上げ、今後の財政状況も含め、様々な角度からの課題の洗い出しや分析、検討などの取り組みを行い、11月には市本庁舎・支所整備方針検討委員会を設置し、整備方針案を取りまとめ、市議会にご報告させていただくとともに、議員各位をはじめ各地域審議会委員、地元関係者の皆様等々、本当に多くの方々からのご意見をいただきました。
 とりわけ、市役所本庁舎・支所整備方針につきましては、合併協定内容を守るべき、条例内容と不整合、議論が拙速といったご意見や財政状況を踏まえ、方針どおり現新旭庁舎を活用すべき、昨年の選挙で民意は明確、あるいは支所機能の充実といった様々なご意見をいただく中で、私といたしましては、合併特例債の発行期限も見据えながら、まずは市政の混乱を避ける必要性など、様々な観点から総合的に勘案のうえで、新年度予算への必要経費の計上を見送るとの判断をさせていただいたところであります。
 今後におきましては、現行の新市建設計画の期限と合併特例法の5年延長期限との整合性を平成26年度中に図らなければならない等、時間的猶予が余りない中でありますことから、改めまして、関係いたします議案の審議をお願いすることとさせていただきたく、よろしくご理解賜りますようお願いする次第であります。

 次に、各行政分野別の政策についてでありますが、1点目に「医療・福祉・介護」の分野でございます。

 まず、医療の充実でございますが、新築開院後3年目を迎える高島市民病院では、「病院改革プラン」に則り、中長期的視点から病院経営の健全化と診療施設及び診療体制の整備を推進します。
 ご承知のとおり、自治体病院を取り巻く経営環境は、医師・看護師不足等、依然厳しい状況でありますが、徐々に診療効率は好転し、経営改善につながってきております。
 こうした中、特に、包括的診療報酬支払い方式、いわゆるDPC方式の導入に向け、準備検討期間に得られる診療データをもとに他病院との比較検証を行い、経営改善につなげて参りたいと考えております。
 また、第1種へき地診療所として地域医療を担って参りました「高島市国民健康保険朽木診療所」につきまして、新築移転を契機として、さらに朽木診療所を拠点に地域医療の一層の充実を図って参りたいと考えております。
 なお、財政状況が厳しくなっております国民健康保険特別会計、事業勘定でございますが、保険税につきましては、県内13市で最も低くなっており、平成26年度は一般会計から一定の支援を予定しておりますが、今後、広域化を見据えた検討を始めていきたいと考えております。

 次に、福祉・介護でございますが、「地域のつながりの中で、元気でいきいきと暮らすことが出来る高島市」を目指して、地域の日常の暮らしの中で、一人暮らしの高齢者や子ども等、支援を必要とする人の見守り活動を行う「高島市見守りネットワーク事業」に取り組み、市民が安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。
 障がい者施策では、障がいを持つ方の地域生活を支援していくため、障がい者グループホームの建設整備を支援いたします。
 なお、介護保険法の改正を踏まえ、各地域包括支援センターの機能充実に向けまして、新年度におきましては組織も含めた見直しに取り組みたいと考えております。

 次に、2点目の「産業・観光振興」の分野でございます。

 最近の経済情勢におきましては、今月19日に発表されました内閣府の月例経済報告では、1月に引き続き「景気は緩やかに回復している。」との基調判断がなされ、企業収益の改善が言われておりますが、市内の雇用情勢におきましては、有効求人倍率は改善してきていますものの、企業環境も含めて、依然として厳しい状況が続いております。
 こうした中にあって、中小企業の振興と地場産業の育成支援として、企業活動支援事業により設備投資・雇用促進・労働環境整備に対する支援を継続し、雇用促進につなげていきたいと考えております。

 高島農作物の販路拡大のための戦略といたしましては、引き続き「生産、認証・PR、流通・販売」の各キーワードを有機的に関連性を持たせながら取り組んで参ります。
 特に、地域特産物定着促進事業として、学校給食への地元野菜の供給を促進するため、食育農園の取り組みや生産供給の拡大への取り組みを支援し、地場産野菜の使用量を、現況20%を平成28年度には40%を目標といたします。
昨年、無償譲渡を受けました高島地域地場産業振興センターにつきましては、「産業交流センター」「公民館」「図書館」としての3つの機能を持ち合わせた施設として整備に着手いたします。
 なお、昨年開催されました「全国発酵食品サミット」を一過性のイベントとすることなく、高島市の発酵食文化の素晴らしさをさらに全国へ発信すべく、その取り組みを行って参ります。

 また、観光施設でありますが、利用者ニーズが変化する中で、今後の観光振興の方向性を見極めつつ、計画的な施設改修等、リニューアルとともに、そのあり方等の検討を進めることとします。
 全国的に高い評価を受けている高島トレイルにつきましては、その魅力をさらに全国に発信できるよう、話題性のある記念イベントを企画して参ります。

 次に、3点目の「防災・環境」分野でございます。

 市政運営の基本は、市民の皆様が安全で安心して暮らしていただける環境を整えることであります。こうしたことから災害発生時の避難計画等の指針となる地域防災計画につきまして、現在、県において南海トラフ巨大地震を含めた被害想定の見直しとともに、昨年9月の台風18号被害等の検証作業を進めているところであり、さらに、原子力編につきましても、県において、広域の避難計画の見直し作業が進められています。
 こうしたことから、県の地域防災計画の見直しとの整合、災害対策基本法の改正、台風18号の検証等を踏まえ、高島市地域防災計画の見直しを行うこととしております。

 我が国におけますエネルギー環境は、東日本大震災以降大きく変化しており、特に原子力に代わる代替エネルギーとしての太陽光発電や小水力発電など再生可能エネルギーの必要性とともに、その期待が高まっています。こうした中、住宅や事業所用太陽光発電システムの設置に対する支援を継続するとともに、土地改良区が実施する農業水利施設を活かした環境にやさしい小水力発電の事業化や太陽光発電の取り組みにも支援いたします。

 また、消防本部において災害対応力の充実強化のため、通信連絡体制の迅速な処理、活動の効果的な運用を図ることにより、災害活動をコントロールする消防の中枢機能部としての消防指令システムの高機能化を図ることとしております。

 次に、4点目の「教育・文化・スポーツ・子育て支援・女性」の分野でございますが、高島市の未来を担う子どもたちをはじめとする重要な事項でございます。

 市内小・中学校の子どもたちの快適な学習環境を確保するために、大規模改造事業とともに、平成25年度より取り組んでおりますエアコン整備、トイレの洋式化につきまして、順次計画的に整備を図っていくこととしております。
 教育環境におきましては、子どもの義務教育9年間の育ちを見据え、発達段階や教育上の課題に応じた一貫性のある系統的、継続的な学習指導や生徒指導を行い、確かな学力と豊かな人間性、たくましい心身を育てることを目的として、「高島市小中一貫教育基本方針」に基づき、市内全域で小中一貫教育を本格的に実施いたします。
 また、少子化の現状を踏まえ、子どもたちにとってふさわしい教育環境を第一に考え、「高島市学校規模適正化基本方針」に基づき、マキノ北小学校、今津西小学校、広瀬小学校の3校について、それぞれ目標年次の統合に向けた手続きを進めるとともに、マキノ地域4小学校の1校化に向けた検討を始めます。

 いじめ防止対策につきましては、従前より教育委員会と各小中学校との「いじめ対策指針」に基づき取り組むとともに、保護者の方々とは、「ストップいじめ行動計画」により防止対策の推進を図ってきたところであります。
 こうした中で、昨年成立、施行されました「いじめ防止対策推進法」により、地方公共団体が実施すべき施策が示されたところであります。
 これらを受けて、福祉部門と教育委員会とが連携を図りながら、高島市いじめ防止基本方針策定委員会を設置し、いじめ防止基本方針を策定することといたします。

 豊かな自然と悠久の歴史の中で育まれてきた貴重な文化財や伝統文化などの歴史文化遺産を保存、継承するとともに、地域の方々と協働し、重要文化的景観を活かしたまちづくりを推進して参りますためにも、大溝地域の水辺景観につきまして、水辺景観保存計画の策定を待って、本年7月に国に対しまして、選定の申し出を予定しているところであります。

 子育て支援対策の一環といたしまして、昨年10月から実施いたしました小学生から中学生までの入院費の無料化をさらに拡充し、本年10月から通院に係る医療費につきましても無料化を制度化し、保護者の負担軽減を図ります。
 なお、学童保育につきましては、青柳学区内に新たに1か所増設し、小学生に授業終了後の適切な遊びと生活の場を提供いたします。
 また、平成27年度からの「新しい子ども・子育て支援制度」の実施に向け、調査検討してきました地域の課題や市民のニーズをしっかりと分析し、今後を見据えた「高島市子ども・子育て支援計画」を策定することといたしております。

 最後に、5点目の「一体感のあるまちづくり」の分野でございます。
来る平成27年に市制施行10周年を迎えます。10周年という節目に、市民参画と行政の協働により記念事業を進めるため、市民団体による「市制10周年記念事業推進委員会」を設置し、新市の誕生からを振り返り、次世代につなげていく新たな価値を創造するきっかけとなるよう実りのある事業の展開を図って参ります。
 また、夏にはJR湖西線開通40周年記念事業と合わせた催しや、秋には式典をはじめ、市の花、木、鳥を制定し、市の一体感の醸成と更なるまちづくりの契機にいたしたいと考えております。

 生活環境におけます道路整備では、高島市の基幹道路である国道161号・303号・367号、加えて主要な県道は、市民生活や産業・観光振興など地域経済支える重要な道路であります。
 また同時に、原子力発電所に隣接いたしますとともに琵琶湖西岸断層帯や花折断層の地震発生時には、緊急避難、緊急輸送道路として、市民の生命と財産を守るためにも、これらの基幹道路の早期整備が喫緊の課題と認識しているところであります。
 特に国道161号小松拡幅につきましては、さらなる推進を図るため、大津市との連携を深め、国や県に対しまして、引き続きしっかりと要請して参りたいと考えております。
 一方、市道整備につきましても、道路整備プログラムの点検、見直しに基づき、緊急度、優先度等を考慮し、継続・新規改良事業の推進をはじめ、とりわけ橋梁長寿命化事業につきましても、計画的に整備を図って参ります。

 また、JR湖西線のバリアフリー化事業につきまして、平成26年度は新旭駅のバリアフリー化、すなわちエレベーターの設置に向けた交通バリアフリー基本構想の策定に取り組むこととしております。

 その他、水道事業につきましては、施設の耐震化を進めるとともに、人口減少にともなう今後の水需要減少を見越し、設備の効率的な更新等により、必要な給水量の確保に努めます。
 下水道事業につきましては、地方公営企業会計への移行手続きを進めるとともに、農業集落排水施設等を計画的に公共下水道へ接続することとし、効率的な運用を図ります。

 こうした様々な事務事業に取り組んで参りますのは、職員であります。昨年からのあってはならない不祥事や不適正な事務処理の事案が多数発生し、議員各位とともに市民の皆様の信頼を失墜させてしまう結果となり、改めまして議員各位とともに市民の皆様に深くお詫び申し上げる次第であります。
 こうした中で、市民の皆様の信頼を回復していくには、何よりも職員ひとり一人の意識と能力による組織力の向上が重要であります。そのためにも管理職をはじめとした職員の説明能力の向上や若手職員の育成にも取り組みを始めております。
 特に、将来を担う若手職員の育成でございますが、本年1月からの1年間の予定で主査級、主任級、参事級の職員によります政策研修グループを設置し、これまで予算査定や政策調整会議等の場へ参加を求め、直に政策形成のプロセスの場を体験するといった研修に私自らが指示し、取り組みを始めたところであります。こうした取り組みを単年度で終わらせることなく、計画的に実施し、自ら考え行動する多くの人材の育成に努めて参りたいと考えているところであります。

 以上、平成26年度の市政運営にあたっての方針につきまして、今期定例会に提案させていただいております各議案等の内容を踏まえ、その概要の一部を申し上げました。

 行政の各般におきまして、多くの複雑な課題が山積しており、今更申すべきことではありませんが、関係部局が必要な情報を共有し、しっかりと連携を図りながら、本当に市民の皆様にとりまして必要な施策の展開を図って参りたいと考えております。
 今回、議会でのご意見や執行体制も考慮させていただき、組織の見直しをご提案させていただきました。
 新たな体制のもと、職員の意識改革とともに、組織力が最大限に発揮できますよう、職員ともども一丸となって取り組ませていただく所存であります。
 高島の未来をしっかり見据えながら、市民の皆様の生活を守り、そして次の世代へ誇りを持って引き継いでいける確かな高島市を目指し、将来にとって悔いのない市政運営に改めて全力を尽くして参る決意でございますので、議員各位におかれましては、より一層のご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、施政方針とさせていただきます。

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