令和6年度施政方針(令和6年3月定例会)

更新日:2024年02月22日

ただいま上程させていただきました令和6年度予算関係議案の提案説明に先立ちまして、この機会に令和6年度の施政方針を述べさせていただきます。

さて、令和6年度は、私にとりまして市長として3期目の任期の最終年度となります。平成25年2月に市政をお預かりさせていただき、これまで「市政改革の推進と市民生活の安定」を基本姿勢とし、高島市が将来にわたって持続可能なまちであり続けるため、行財政改革の推進はもとより、様々な課題や問題を先送りすることなく、常に真正面から向き合い、一意専心の思いで市政運営を行ってまいりました。引き続き、「住みたい、住み続けたいまち」の実現に向けまして取り組んでまいる所存であります。

そのような中で、令和6年度は、平成17年1月1日に高島市が発足してから20年の節目を迎える年度となります。これまで本市のまちづくりを支えてこられた多くの先人のご努力に思いを馳せながら、これからの高島市の発展、そして輝かしい未来に向けた決意を市民の皆様と共有しながら、市制20周年記念事業を展開してまいります。

それでは、令和6年度に取り組んでまいります主な施策とその方向性について、第2次高島市総合計画の6つの政策分野ごとに申し上げます。

政策分野1 「かもす」産業・経済

まず、1つ目の「産業・経済」の分野についてであります。

雇用の創出をはじめとします地域産業の発展に向けた施策の推進は、若者の定着や活力あるまちづくりを進める上で極めて重要な取組みであります。引き続き、経済団体等と連携しながら、各種のセミナーや合同就職説明会などを積極的に進めて参りますと共に、企業の設備投資や人材確保に向けた取組みへの支援を行ってまいります。

さらに、新年度の新たな取り組みとしまして、「たかしま発酵のまちづくり構想」の策定に取り組んでまいります。本市では、古来より伝統的な食文化が継承され、発酵食に関する様々な地域産業が根付いております。コロナ禍を経て、改めて健康意識やサステナブルな暮らしへの志向が高まる中、本市の発酵食文化を後世へと発展的に継承し、今後のまちづくりに活かすため、発酵文化を活かしたまちづくりの方向性を構想として取りまとめてまいります。

また、平成27年にリゾートトラスト株式会社様と協定を締結いたしました会員制リゾートホテル事業が、いよいよ本年10月に開業を迎えます。従業員規模は約260人で、既に市内におきましても採用活動が本格化しており、新たな雇用機会の増大にも期待が出来ますことから、この機会を捉えまして、市内経済への波及はもちろん、本市のブランド力向上や関係人口の拡大へとつなげてまいります。

次に、観光振興についてであります。

本年3月16日に、北陸新幹線が金沢駅から敦賀駅まで延伸されますことから、北陸と北関東地域を対象に本市の認知度向上に向けたプロモーション活動を行い、新たな観光客の獲得に向けた取り組みを進めてまいります。

併せて、市内唯一の特急停車駅であるJR近江今津駅では、駅構内の改修やデジタルサイネージの設置を行い、観光客等への情報発信を強化するなどにより、市内観光の周遊促進に繋げてまいります。

また、今年度中に策定をいたします「たかしま観光ビジョン」は、今後10年間の本市の観光振興の方向性を定めるものであります。

本市が誇れる自然景観や歴史文化を未来へつなぎ、たかしまファンを創出し、さらには稼げる観光地域づくりをめざして、事業者や関係団体、市民の皆様のご協力のもと、ビジョンの実現に向けて取り組んでまいります。

次に、農林水産業についてであります。

農林水産業を取り巻く環境は、従事者の高齢化による後継者や担い手の不足、資材価格の高騰等の課題が山積する中で、担い手の確保と農業経営の安定化が懸案となっております。このような状況を踏まえまして、新規就農者の育成・定着を図るため、経営開始資金や初期投資への支援を行ってまいります。

また、中山間地域振興事業や農村まるごと保全向上対策事業を進めますとともに、地域での話し合いを通じた農地の集約化など、将来の農地利用の姿を明確にするための地域計画の策定を進めてまいります。

また、上安曇地区ほ場整備事業の実施につきましては、農地の大区画化や水田の畑地化を推進し、担い手を中心に農地の集積・集約化を図り、農業の競争力強化と安定的な農業経営の確保を図ってまいります。

林業分野におきましては、森林境界の明確化が困難になっているため、新たに航空測量データを活用した手法を導入するとともに、引き続き重要インフラ周辺の森林整備など森林環境整備事業を実施してまいります。

政策分野2 「あゆむ」子育て・教育

次に、2つ目の「子育て・教育」の分野についてであります。

子ども・子育て政策の強化に向け、昨年12月に国において「こども大綱」と「子ども未来戦略」が策定されたことを踏まえまして、本市としましても、「子育てしやすい高島市」の実現に向け、各種施策のさらなる充実を図ってまいります。

本年1月には、子育て家庭が抱える、育児への不安や児童虐待、不登校などの相談支援を包括的に行う「こども若者応援ベース“みらくる”」を開設したところであり、令和6年度には、母子保健分野との連携強化を図り、改正児童福祉法に規定される「こども家庭センター」としての体制を整えるとともに、「教育相談・課題対応室」や「結びと育ちの応援団」を施設内に移転し、子どもや若者に関する相談機関の集中化を図ってまいります。

また、新たな子育て支援策といたしまして、育児不安など、出産後のご家庭への支援として、「乳児おむつ等支給事業」を開始いたします。

出生から満1歳までのお子さんを対象に、子育て経験のある配達員が紙おむつなどの育児用品を毎月無料でお届けし、お子さんと保護者に直接お会いすることで、母子の健康状態の確認や子育ての悩みの相談などをお受けする、アウトリーチ型の子育て支援を進めるなど、引き続き本市が誇ります子育て世代への各種支援策の充実に取り組んでまいります。

次に、教育についてであります。

学校教育分野では、小・中学校に配備いたしました1人1台のタブレット型端末を効果的に活用し、学び方改革を進めるとともに「地域とともにある学校づくり」を推し進め、地域と一体となって子どもの豊かな成長を育む教育環境づくりに努めてまいります。

また、学校不適応の課題等に対応するため、スクールソーシャルワーカーを市単独で配置し、不登校やいじめ問題の未然防止、早期解決に向けた取り組みを推進してまいります。

さらに、子どもたちの学びを経済的に支援するための「清水安三育英資金」「高島屋奨学金育英資金」さらには「高島市育英資金」の3種類の育英資金制度を改正し、進学意欲のある方に対する経済的負担の更なる軽減を図り、次代の高島市を支える人材育成を行ってまいります。

社会教育分野においては、人生100年時代を迎えるにあたり、市民一人ひとりが、自らのライフスタイルに応じて学んでいただけるよう、「市民大学たかしまアカデミー」をはじめ、公民館教室や講座など、様々な学びの機会を提供してまいります。

政策分野3 「つむぐ」健康・福祉

次に、3つ目の「健康・福祉」の分野についてであります。

単身世帯の増加や地域でのつながりの希薄化などを背景に、多様化・複合化した生活課題が顕在化しております。

社会的孤立や生活困窮など制度の狭間に陥りやすい支援ニーズに対しては、引き続き、重層的支援体制整備事業により包括的な相談支援体制の強化を図り、地域共生社会の実現を目指してまいります。

また、認知症や障がいなどにより意思決定支援などが必要な方に対しましては、関係機関と連携して権利擁護の支援に努めてまいります。

また、令和6年度からスタートします新たな「たかしま障がい者プラン」に基づき、地域共生社会の実現に取り組みますとともに、精神障がい者に対する医療費助成については、県の補助制度の拡充に合わせ、福祉医療費の助成対象を拡大してまいります。

次に、健康づくりに関しましては、新年度は「第4次健康増進計画」の策定に着手しますとともに、生活習慣病予防や重症化予防対策として集団検診の検査内容について充実を図ってまいります。

高齢者福祉の分野では、新たな第9期介護保険事業計画に基づき、安定的な介護サービスの提供と介護人材の確保に努めることとし、介護保険料につきましては、介護保険給付基金の活用等により基準額を据え置くことといたします。

また、高齢者やご家族の相談体制の充実を図るため、民間事業者への委託により、新たに南部地域を担当する地域包括支援センターを開設いたします。

次に病院事業につきましては、これまでに市民病院と朽木診療所、介護老人保健施設 陽光の里との事業を統合し、経営の合理化と健全化を進めてきたところであります。

令和6年4月からは、新たに訪問看護ステーションの事業を統合いたしまして、医療と介護、更には在宅療養支援機能の充実を図ることで、地域の多様化する医療ニーズに応える体制を整え、病院事業の持続的な運営に努めてまいります。

また、令和7年度に本県で開催されます「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ大会」に向けましては、昨年12月に高島市実施本部を設置したところであり、本大会に向けての準備はもとより、まずは、今年の秋に開催いたします競技別のリハーサル大会に向けて事務局体制を強化するなどしっかりと対応してまいります。

政策分野4 「せせらぐ」暮らし・文化

次に、4つ目の「暮らし・文化」の分野についてであります。

移住定住に向けた取り組みとしましては、引き続き移住定住コンシェルジュによります移住希望者へのきめ細かな対応を行い、本市の魅力や暮らし、空き家の情報などを積極的に発信してまいります。

また、JR西日本と連携して取り組んでおります「おためし暮らし」は、移住定住のきっかけづくりとして成果をあげておりますことから、新年度は、更におためし物件の充実を図りながら定住促進につなげてまいります。

豊かな自然景観や歴史遺産は、本市の誇れる財産であります。

今年度に保存整備が完了しました「大溝陣屋総門」の積極的な情報発信を行い、誘客促進を進めますとともに、さらに、貴重な文化財資料の保存と有効活用を図るため、「近江聖人 中江藤樹記念館」を、市の歴史文化を発信する拠点とするための改修整備を行ってまいります。

次に、環境政策についてであります。

新たな環境センターの整備につきましては、「ごみ処理施設建設検討委員会」において検討を重ねていただき、また、周辺地域での説明会やパブリックコメント等でいただきましたご意見を踏まえ、このほど泰山寺地先での施設整備に向けた「新ごみ処理施設整備基本計画」の策定に至ったところであります。

新年度におきましては、策定いたしました基本計画に基づき、新たに、造成基本設計や施設基本設計、整備・運営事業者の選定業務に取りかかりますほか、引き続き、生活環境影響調査の実施や、搬入路の整備に向けた検討につきましても鋭意進めてまいります。

また、泰山寺区および周辺区・自治会の地域振興に向けた支援も開始し、周辺地域の課題解決に真摯に対応してまいります。

ご承知のとおり、ごみ処理は、市民の皆様の日常生活を支える最も身近な行政サービスでありながら、現在は、三重県伊賀市様に緊急避難的に受け入れをいただいている状況でありますことから、令和11年度中の焼却施設稼働に向け、着実に事業を進めてまいる所存であります。

また、2050年カーボンニュートラルに向けましては、本年度中に策定いたします「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」に基づきまして、行政のみならず、市民や事業者を含め、脱炭素化の推進を通じた自然との共生や、省資源・省エネルギーの循環型社会の形成に向けました施策や取り組みにつきまして検討を進めてまいります。

次に、災害への備えについてであります。

近年頻発しております集中豪雨や近い将来の発生が懸念されます大規模地震等に対応するため、防災・減災対策の強化は急務であります。

そのため、今年度から着手しております新たな防災行政無線システムの整備におきましては、本年の秋頃から順次、各ご家庭への戸別受信機の設置を進めてまいりますとともに、SNSの活用によりスマートフォン等への情報発信を行ってまいります。

加えまして、災害発生時には「自助」、「共助」、「公助」が連携して対応することが不可欠であるため、地域での防災意識の啓発をはじめ、地区防災計画の策定や、要支援者の個別避難体制の構築、さらには地域防災体制の要である消防団との連携を強化していくことで、地域防災力の向上を図ってまいります。

政策分野5 「ささえる」生活基盤

次に、5つ目の「生活基盤」の分野についてであります。

大規模地震等の災害を見据え、強靭で広域的な道路ネットワークを構築することは極めて重要であり、なかでも幹線道路であります国道161号の改良整備は、本市にとっての喫緊の課題であります。

そうした中、国道161号バイパスの整備は、令和7年秋には小松拡幅14工区の開通が予定されているところであります。

本市としましては、安曇川地区交差点立体化区間の早期開通とあわせまして、現在、環境影響評価や都市計画道路の変更手続きが進められております、小松拡幅13工区の白鬚神社の背後地におけるバイパス整備につきまして、一刻も早い事業着手に向けまして、関係機関に強く働きかけてまいります。

近年、地域の公共交通を取り巻く環境は、人口減少や、運転手不足の深刻化等により極めて厳しい状況にあります。

そのため、マスタープランであります「地域公共交通計画」および、令和5年度に策定いたしました「地域公共交通利便増進実施計画」に基づきまして、持続可能な公共交通網の構築に向けて取り組んでまいります。

水道事業におきましては、「第2次水道事業基本計画」に基づき、今年度から水道料金の改定を行い、持続可能な事業経営に努めております。

引き続き、水道水の安定供給と有収率の向上を目指すため、老朽化した管路や設備の更新、統廃合に向けた施設整備を計画的に進めてまいります。

また、下水道事業におきましても、事業経営の効率化を図るため、農業集落排水処理施設を公共下水道に接続をするとともに、災害に強い下水道の構築を目指してまいります。

政策分野6 「こころざす」行政経営

最後に、6番目の「行政経営」の分野についてであります。

私が就任以来、持続可能な行財政基盤を構築し、自信と誇りを持って次の時代に繋いでいくという信念のもと、職員数の適正化や公共施設の再編、また遊休財産の売却処分など、様々な行財政の改革を進め、その成果を着実に積み上げてきたところであります。

一方で、急速な人口減少によります新たな財政需要や、公共施設やインフラ施設の老朽化、激甚化する自然災害に対する防災減災・国土強靭化の推進に対応するためには、さらなる行財政改革に取組む必要があります。

令和6年度は、現在の高島市行財政改革計画の最終年となりますことや、平成27年度から平成27年度から30年間を計画期間平成27年度から30年間を計画期間30年間を計画期間としております公共施設等総合管理計画が10年目の改訂年度を迎えますことから、これら計画の達成状況等を見定め、新たな課題等に的確に対応できるよう、両計画の見直しを進めてまいります。

次に、人口減少課題についてであります。

わが国全体の人口減少が加速化している中、本市においても人口減少を避けることはできませんが、一方で、昨年の本市への転入者数は、近年の中では高い水準となっており、一昨年以降はこれまでのような大幅な転出超過の傾向が改善されつつあります。

これは、これまで地方創生の取り組みにおいて特に力を入れて進めてまいりました、移住定住や子育て支援の充実、関係人口の開拓などによるものと分析をしており、市民の皆様とともに築き上げてきた本市の魅力をさらに磨き上げることで、これからも「選ばれるまち」を目指していく必要があります。

そのため、新年度は、デジタル技術を活用した施策なども検討しながら、人口の社会増減のプラスを維持していくための新たな総合戦略を策定してまいります。

また、本市へのふるさと納税では、今年度は昨年度を大きく上回る6億7千万円余が見込まれ、全国の高島ファンの皆さまから温かいご支援をいただいております。

今後も、本市が誇る特産品や地域資源を戦略的にPRし、貴重な財源確保と関係人口の開拓に取り組んでまいりたいと考えております。

 

以上、新年度に臨みます私の所信および市政の基本方針の一端を申し上げましたが、市政運営には他にも数多くの課題が山積しております。

引き続きまして、次の世代に責任が持てるまちづくりに向けまして、職員の皆様とともに取り組んでまいりますので、議員各位におかれましても、より一層のご理解、ご協力を賜りますようお願いを申し上げまして、令和6年度の施政方針といたします。

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