○高島市危険物流出等の事故調査規程
平成26年12月26日
消防本部訓令第7号
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第16条の3の2の規定に基づいて実施する危険物の流出その他の事故(以下「危険物流出等の事故」という。)の原因の調査(以下「調査」という。)について、他に定めがあるもののほか、必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、その調査結果を日常の指導および立入検査に反映させることにより、類似の事故の再発を防止し、もって火災予防の充実を図ることを目的とする。
(犯罪捜査への不関与)
第3条 調査は、法に定める事項に限り行うものであって、犯罪の捜査に関与してはならない。
(調査の主体)
第4条 調査の主体は、消防長とする。
2 消防長は、予防課長に対し、調査の遂行上必要な指示を与えるものとする。
(調査員の指名および区分)
第5条 消防長は、予防課員のうちから調査員を指定し、市内全域の調査に従事させるものとする。
(調査の実施)
第6条 消防長は、危険物流出等の事故を覚知したときは、直ちに調査に当たらなければならない。
(調査本部の設置)
第7条 消防長は、危険物流出等の事故が発生した場合において、必要があると認めるときは、調査本部を設置することができる。
(調査本部の解散)
第8条 消防長は、調査が完了したときは、調査本部を解散する。ただし、調査の進捗状況によっては、調査完了前であってもこれを解散することができる。
(調査員の心得)
第9条 調査員は、調査に必要な知識および技術の修得に努めるとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員相互に連絡協調して原因の探究を行うこと。
(2) 警察機関その他の機関と緊密な連携を保持して調査に当たること。
(3) 適正公平を旨とし、強制的手段を避け、穏健妥当な方法により、関係者の協力を得るように留意すること。
(4) 調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らさないこと。
(5) 調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないよう努めること。
(6) 調査の経過その他参考となるべき事項を記録し、および保存すること。
2 調査員は、児童(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条第1項に規定する児童をいう。以下同じ。)に対する調査に当たっては、児童の特性をよく理解し、言動に注意してその心情を傷つけないよう努めなければならない。
(調査の実施対象)
第10条 調査は、製造所、貯蔵所および取扱所において発生した危険物流出等の事故について実施するものとする。
(調査の原則)
第11条 調査は、危険物流出等の事故が発生した原因を調べるほか、発生に至った経緯、発生前および発生時の作業の状況、事故の模様、関係者の講じた措置、被害状況等を明らかにするものとし、物的調査と人的調査を相関的に併せ行わなければならない。
2 調査員は、先入観に捉われることなく、科学的な方法と合理的な判断により、危険物流出等の事故の原因を究明しなければならない。
(立入検査)
第12条 調査員は、法第16条の3の2第2項の規定により、危険物流出等の事故が発生した製造所、貯蔵所、取扱所その他当該事故の発生と密接な関係を有すると認められる場所に立ち入って検査を行うときは、必要に応じ、これらの場所の所有者、管理者もしくは占有者またはその代理人その他関係のある者を立ち会わせ、調査の信ぴょう力の確保に努めなければならない。ただし、消防長が調査を行うため特に必要があると認めるとき、または児童の年齢、心情その他の事情を考慮して支障がないと認めるときを除き、児童を立ち会わせてはならない。
(調査資料の収集)
第13条 調査員は、危険物流出等の事故の現場の状況を観察し、現場付近の全てのものについて調査上必要な情報および資料を収集しなければならない。
2 消防長の指定を受けた調査員は、相互に危険物流出等の事故の状況および知り得た情報を説明するとともに、相手方から資料の提供を求められたときは、これを引き渡すものとする。
(実況見分の原則)
第14条 調査員は、危険物流出等の事故の現場その他関係ある場所および物について綿密かつ詳細に実況見分を行い、資料の発見および入手に努めなければならない。
(危険物流出等の事故発生前の状況把握)
第15条 調査員は、実況見分を行うに当たっては、関係者を立ち会わせ、危険物流出等の事故の発生前の状況を明らかにするよう努めなければならない。
(消防隊員の見分)
第16条 消防隊の現場責任者および隊員(以下「消防隊員」という。)は、危険物流出等の事故の現場に立ち入るときは、細心の注意を払い、現場保存に努めなければならない。
2 消防隊員は、現場到着時の危険物流出等の事故の状況、関係者の言動等について詳細に観察し、調査員に対してこれらの状況を説明し、または資料を提供しなければならない。
(現場における速報)
第17条 調査員は、危険物流出等の事故の現場において見分した結果により、推定した流出等の原因およびその経緯の概要を、消防長に速報しなければならない。
2 調査員および消防隊員は、現場において、調査結果、推定原因等を他に発表し、または漏らしてはならない。
(質問の原則)
第19条 調査員は、危険物流出等の事故の第一発見者に対しては事故発見時の状況を、その他関係ある者に対しては危険物流出等の事故の発生前後の状況等を質問することができる。この場合において、児童に対し質問するときは、保護者、教師、保護司等(以下「保護者等」という。)の立会いのもとで行わなければならない。ただし、消防長が調査を行うため特に必要があると認めるとき、または児童の年齢、心情その他の事情を考慮して支障がないと認めるときは、この限りでない。
2 前項の規定による質問は、被質問者の任意かつ自由な状態で行い、強制または誘導してはならない。
(伝聞の排除)
第20条 調査員は、質問を行うに当たっては、直接経験した事実の陳述を得るように努めなければならない。
2 被質問者の伝聞にわたる陳述で重要な事案に係るものがあるときは、その事実を直接経験した者に対し、質問を行うように努めなければならない。
2 調査員は、質問調書を作成したときは、被質問者(児童であるときは、児童および保護者等)に対してこれを閲覧させ、または読み聞かせ、誤りのないことを確認した上、被質問者(児童であるときは、保護者等)の署名を求めるものとする。この場合において、通訳人に通訳をさせて質問を行ったときは、併せて通訳人の署名を求めるものとする。
(調査結果の検討)
第22条 調査員は、実況見分、質問、資料等により知り得た事実を総合検討し、危険物流出等の事故の原因を判定しなければならない。
(原因判定書)
第23条 調査員は、危険物流出等の事故の原因を判定したときは、危険物流出等の事故の原因判定書(様式第3号)を作成しなければならない。
(報道上の注意)
第24条 消防長は、児童、ろうあ者または心身喪失もしくは心神耗弱の状況にある者(以下この条において「児童等」という。)の関係する危険物流出等の事故について、新聞その他の報道機関に発表するときは、当該児童等の氏名または住所を告げ、その他その者を推知することができるようなことをしてはならない。
4 市長は、前項の規定により提出資料保管書を交付した資料について、保管の必要がなくなったときは、当該提出資料保管書と引き換えに、関係者に当該資料を返還するものとする。
(証拠保全)
第26条 消防長は、資料の保全に当たっては、綿密かつ慎重を期し、証拠価値を毀損、紛失、変質等しないように努めなければならない。
(資料処理表)
第28条 消防長は、調査資料の受渡しその他の処理については、危険物流出等の事故の調査資料処理表(様式第11号)に記載して、これを明らかにしておかなければならない。
(鑑定の依頼)
第29条 消防長は、調査のために必要があるときは、官公署等に対し、鑑定依頼書(様式第12号)により鑑定を依頼することができる。
(事故調査書の作成)
第30条 調査員は、調査を行ったときは、危険物流出等の事故調査書(様式第13号)を作成し、署名押印しなければならない。
2 調査員は、前項に規定する調査書を作成するときは、原則次に掲げる書類を添付しなければならない。
(1) 危険物流出等の事故の原因判定書(様式第3号)
(2) 危険物流出等の事故の実況見分調書(様式第1号)
(3) 危険物流出等の事故の質問調書(様式第2号)
(4) その他の参考図書
(調査書類の保存)
第31条 前条第1項に規定する調査書は、高島市文書取扱規程(平成19年高島市訓令第4号)に基づき、保存しなければならない。
(警察への通報)
第32条 消防長は、危険物流出等の事故について犯罪の疑いがあると認めるときは、直ちに事故が発生した場所を管轄する警察署に通報書(様式第14号)により通報しなければならない。ただし、緊急を要するときは、この限りでない。
2 消防長は、危険物流出等の事故に係る移動タンク貯蔵所が他の行政庁の許可施設である場合は、その調査結果について移動タンク貯蔵所事故調査通知書(様式第15号)により当該行政庁に通知するものとする。
(投書等の処理)
第33条 消防長は、調査に関し投書等があった場合は、その内容の真偽を確かめ、必要があると認めるときは、実情を調査するとともに、投書者が判明したときは、その者から事情を聴かなければならない。
(その他)
第34条 この訓令に定めるもののほか、調査の実施に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
付則
この訓令は、平成27年1月1日から施行する。
付則(平成28年3月17日消本訓令第3号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
付則(令和4年9月27日消本訓令第4号)
この訓令は、令和4年10月1日から施行する。