○高島市農業委員会農地移動適正化あっせん基準

平成17年1月6日

農業委員会訓令第2号

(趣旨)

1 この訓令は、農業委員会が農業委員会等に関する法律(昭和26年法律第88号)第6条第2項の規定に基づき、農業委員会の業務として、農業振興地域内の農用地等について行う農地保有の合理化のための権利移動のあっせん事業(以下「あっせん」という。)の実施に関し必要な事項を定めるものとする。

(目的)

2 あっせん事業は、農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第18条に定めるところにより、農用地等に関する権利(所有権、賃借権その他の使用収益権)の取得が、農業経営規模拡大および農地等の集団化に寄与し、かつ、農業振興地域整備計画に定める将来育成しようとする農業経営をできるだけ早い時期に育成するために実施するものである。

(農用地等の権利を取得させるべき者の要件)

3 農用地等の権利を取得させるべき者は、農業を営む者、当該農地等の所在地を事業実施地域に含む農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)第4条第2項に規定する農地保有合理化法人とし、農業を営む者の要件については、次の(1)から(6)までに掲げる要件とし、農業委員会は、これに適合する場合にあっせんを行うものとする。

(1) その農業経営には、専らまたは主としてその農業経営に従事すると認められる青壮年の家族農業従事者(農業生産法人にあっては、常時従事者たる構成員)がいるものであること。

(2) その者が現に農業に従事している農業経営主、農業後継者または新規就農希望者であって、かつ、次の事項により判定して農業によって自立しようとする意欲と能力を有すると認められること。

ア 過去3か年間における自己の責任による経営規模縮小の事実の有無

イ 過去3か年間における経営規模拡大の事実の有無

ウ 現在の農業経営に必要とする資本整備を有すること。

エ 過去3か年間における主作目による収入の増減変化

(3) その農業経営の経営主が、年齢満60歳以上であるときは、その後継者が現に農業に従事しているか、または近く従事することが確実であると認められること。

(4) その農業経営における当該農用地の権利取得後の経営面積(農業生産法人にあっては、その経営面積をその常時従事者たる構成員の属する世帯数で除した面積)が、別に定める場合を除き、当該地域における作目および経営形態別に別表第1に定める基準面積を超えるものであること。

(5) その農業経営の資本装備が、農用地等の効率的利用の観点からみて、適当な水準であるか、または近く適当な水準になる見込みがあると認められること。

(6) その者が取得する農用地等を農業振興地域整備計画に定める農用地利用計画で示す用途区分に従って利用することが確実であると認められること。

(農用地等権利取得者のあっせんの順位)

4 農用地等の権利を取得させるべき者に対するあっせんの順位は、農業を営む者を第1順位とする。この場合、認定農業者(農業経営基盤強化促進法第12条第1項の規定により認定を受けた者をいう。)を優先してあっせんする。

ただし、農業を営む者にあっせんするよりも、農地保有合理化法人にあっせんする方が、農地保有の合理化に著しく寄与すると認められる場合、または農業を営む者に対するあっせんが不成立の場合には、農地保有合理化法人にあっせんするものとする。

また、農用地等の権利を取得させるべき者が2人以上いる場合は、次に掲げる事項を総合勘案してあっせんの順位を定めるものとする。

(1) 農用地等の権利の取得後における権利取得者の経営面積が別表第2に定める目標経営規模との格差が小さい者に対して、優先的にあっせんするものとする。

(2) 農業振興地域整備計画、経営構造対策事業計画等において育成しようとする農業経営を行おうとする者に対して、優先的にあっせんするものとする。

(3) あっせんすべき農用地等が、農道、水利、通作距離などの条件からみて、その農用地等を最も効率的に利用することができると認められるものを優先的にあっせんするものとする。

(4) あっせんすべき農用地等の隣接者など農地の集団化に資する程度が大きなものを優先的にあっせんするものとする。

(5) 地域農業の中核的な担い手の育成、確保を図るため最も適当と認められる者に対して優先的にあっせんするものとする。

(特別基準)

5 農業農村整備事業実施地区、経営構造対策事業等実施地区においては、当該計画の自立経営農家等育成計画によって定められた具体的な農地流動計画によってあっせんを行うものとする。

(その他)

6

ア 経営構造対策事業実施地域において同事業を育成しようとする農業経営を除いては、当分の間、別表第2に定める農業経営規模の目標を既に超えている農業経営は、あっせんの対象としない。

イ 農業生産法人等と個別経営との競合は、出来得る限り避けることとし、もし競合する場合は、経営構造対策事業実施地域にあっては農業生産法人等を優先し、その他の地域では個別経営を優先するものとする。

ウ 将来の経営類型が複合経営と専門的単作経営とで競合する場合には、専門的単作経営を優先するものとする。

(あっせんを行う場合)

7 農業委員会は、次に掲げる場合にあっせんを行うものとする。

(1) 農用地等の所有者から農用地等の売渡し、または貸付けについてあっせんの申出があったとき。

(2) 農用地等の権利を取得させるべき者の要件を有する者から農用地等の買受けまたは借受けしたい旨の申出があり、あっせんすることが相当であると認められたとき。

(3) 農地信託制度により、農用地等を引き受けた農業協同組合から、信託農用地等について売渡しまたは貸付けのあっせんを依頼されたとき。

(4) 農地保有合理化法人から、農用地等の売渡しまたは貸付けのあっせんを依頼されたとき。

(5) 農用地等の所有者から、農用地等の交換分合のあっせん申出があったとき。

(6) 農業協同組合、農業協同組合連合会、農事組合法人または農地法施行令(昭和27年政令第445号)第1条の6第1項第4号の2に規定する法人から、農業者の協同利用に供される農業用施設の用に供される土地の買受けまたは借受けの申出があった場合

(7) (1)から(6)までの売渡しまたは貸付け、交換分合のあっせんに直接関連して他の農用地等の売渡しまたは貸付け、交換分合のあっせんを行う必要があると認められるとき。

(あっせんを行わない場合)

8 農業委員会は、次に掲げる場合にあっせんを行わないものとする。

(1) 農用地等の所有者が売渡し、または貸付けの相手方を指定してあっせんの申出があったとき。

(2) 期間5年未満の短期間の賃貸借または使用貸借についてあっせんの申出があったとき。

(3) その他農業委員会において農地移動適正化あっせん事業の対象とすることが不適当と認められるあっせんの申出があったとき。

(あっせんの決定)

9 あっせん事業実施の決定は、次により行うものとする。

(1) 農業委員会は、農用地等の権利移動のあっせんを行う場合は、あっせんの対象となる農用地等の状況および農家基本台帳を中心にしてあっせん基準により、あっせんの対象とすべき農業経営の選定をするものとする。

(2) あっせん対象とする農業経営を決定したときは、このあっせんに当たるべきあっせん委員2人を指名してあっせんを行うよう指示するとともに、あっせんの申出者にその旨を通知するものとする。あっせん委員からあっせんの打切りの報告があり、再審議の上あっせんを行うことが決定したときも同様とする。

(3) あっせんを行わないことに決定したときは、その旨あっせん申出者に通知する。あっせん委員からあっせんの打切りの報告があり、再審議の上あっせんを行わないことを決定したときも同様とする。

(あっせん委員)

10 あっせん委員は、農業委員2人とし、農業委員会の推薦により農業委員会会長が指名する。

(あっせん委員の任務)

11 あっせん委員は、会長の指示に従い、農地等の権利移動の適正化あっせんを行い、次の事項を処理するものとする。

(1) あっせん委員は、あっせんにより農用地等の売買または賃貸借、交換分合が成立したときは、あっせん調書を作成し、あっせん委員および農用地等の権利移動の当事者が署名押印するものとする。

(2) あっせん委員は、あっせんにより農用地等の売買または賃貸借、交換分合の成立の見込みがないと認めたときは、当該あっせんを打ち切るものとする。

(3) あっせん委員は、あっせんにより農用地等の売買または賃貸借、交換分合が成立したとき、またはあっせんを打ち切ったときは、遅滞なくあっせんてん末書を作成し、農業委員会会長に報告しなければならない。

(農業委員会の処理)

12 農業委員会は、農地移動適正化移動あっせん台帳を備え付け、この要領に基づいて農地等の売買または賃貸借、交換分合についてあっせんの所要事項を記載するものとする。

この訓令は、平成17年1月6日から施行する。

別表第1(3関係)

地区区分

経営類型

基準面積

音羽、永田、鴨、宮野、野田、武曽横山、拝戸

稲作

複合経営

180a

鵜川、打下、勝野

稲作

複合経営

120a

高島、鹿ヶ瀬、黒谷、畑

稲作

複合経営

140a

別表第2(4、6関係)

1 組織経営体

経営類型

目標経営規模

作目構成

水田作

集落を基本とする組織経営(集落営農)

水田30ha程度

水稲・麦・大豆

集落を越えた組織経営

(主たる従事者3人)

水田50ha程度

水稲・麦・大豆

2 個別経営体

経営類型

目標経営規模

作目構成

水田作

土地利用型経営

水田17ha程度

水稲・麦・大豆

野菜

露地野菜水稲複合経営

水田12ha程度

水稲・麦・キャベツ

施設野菜水稲複合経営

水田10ha程度

水稲・トマト・ホウレンソウ

果樹

果樹水稲複合経営

水田7ha程度

水稲・葡萄

花卉

花卉水稲複合経営

水田7ha程度

水稲・花卉

畜産

酪農水稲複合経営

水田7ha程度

水稲・経産牛30頭程度、育成牛12頭程度

高島市農業委員会農地移動適正化あっせん基準

平成17年1月6日 農業委員会訓令第2号

(平成17年1月6日施行)

体系情報
第9編 産業経済/第1章 農業委員会
沿革情報
平成17年1月6日 農業委員会訓令第2号