健康・福祉・教育
シリーズ「現場から」その6
登録日:2018年4月23日
子ども未来部 子ども家庭相談課
信じること・待つこと・聞くこと
~小学校の先生からのメッセージ~
担任していたA君が万引きの見張り役をしてしまった。
私は、ただただA君を前にして、涙した。毅然とした態度で強く指導するのは当然であるが、複雑な事情を抱えたA君にどのように話せば心を開いてくれるのか分からず、悲しかった。長い時間、二人とも涙しながら黙っていた。「もうしないと先生は信じているよ。」とだけ伝えるのが、精一杯だった。
その後、彼と交換ノートを続けた。交換ノートといっても文章を綴るのではなく、A君の得意とする算数の問題の出しあいっこをした。頭の体操のような問題に頭をひねることも多かったが、いつしかそのノートを開けるのが楽しみになっていた。
それからずいぶん経ったある日、なぜ万引きの見張り番をしてしまったのか、その時の苦しい胸の内を話してくれた。子どもに寄り添いながら、あなたのことを常に思っているよとメッセージを続けることで彼は、心を開いてくれたのだと確信している。
子どもたちはおしゃべりが大好きだ。「先生、あのな・・・」と次から次と話しかけてくる。子どもたちが、声を弾ませて話すのを聞くことが何より楽しい。たわいもない話が多いが、「うんうん、そうなんだ」「へーそれで」などあいづちを打つことで子どもたちは満足そうな顔になる。その表情がたまらなく愛おしい。でも、ぼぉっと聞いているわけにはいかない。時には、さりげなく話していても、小さな心を痛めている時もある。深刻であろうことをぼそっと話すことも・・・。
私たち教師は、それを見逃さないでキャッチできる感性を磨き続けていきたいと思っている。子どもたちの健やかな成長を願って・・・。
(小学校教諭)
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